大切なご家族が亡くなられ、葬儀や色々な手続きがようやく落ち着いた頃、次に進めなくてはいけないのが遺品整理です。
あなたにとって、遺品整理はとても辛いことでしょうし、日常の生活プラスの作業になりますので、時間的、そして体力的にも大変なことは簡単に想像できます。
そして、あなたが遺品整理をすすめようと思ったとき、次のことが心配になるのではないでしょうか?
・遺品整理っていつからやれば良いの?
・逆に、遺品整理はいつまでにやらなければいけないの?
・遺品整理って早くやったら冷たい人って思われない?
などの心配が尽きないと思います。
結論からお話しますと、遺品整理はいつ行っても構いません。
特別な決まりはないのです。
しかし、実際にはあまり遅い場合も、早すぎる場合も問題が発生することがあります。
この記事では、いつかはやらなくてはいけない遺品整理を、いつ始めるべきなのか?また、その理由について解説していきます。
この記事でわかること
・遺品整理をいつからすべきなのか
・遺品整理を遅らせると損をする可能性
・遺品整理を早めに行うことのメリットデメリット
1.遺品整理をいつから始めるべき?適切な時期とは

遺品整理をいつから始めるべきなのでしょうか?
遺品整理を始めるのに、絶対にこの時期という物はありません。
先に結論を言えば、遺品整理はいつから始めても良いと言えます。
とは言え、一般的な流れや注意点もありますので、ご紹介していきますね。
遺品整理をいつするかについては、次の4つの考え方があります。
①葬儀が終わったあと
②死亡後の諸手続きが済んだのち
③49日法要が済んでから
④相続税の申告期限前
以下に、それぞれ詳しく解説していきます。
①葬儀が終わったあと

葬儀が終わったあとに、遺品整理をするということは、比較的急いで行うという事になります。
このケースが多いのは、故人が賃貸住宅に済んでいた場合に該当します。
ただ、実際に借りていた本人が死亡したからといって、すぐに賃貸契約が解消されることはなく、相続人がその契約を引き継ぐことになります。
そのため、相続人となった人が、家賃を払っていかなくてはいけません。
そのため、賃貸住宅に故人が住んでいた場合は、なるべく早いタイミングでの遺品整理が望ましいと言えるでしょう。
②死亡後の諸手続きが済んだのち

ご葬儀が終わり、役所や保険など諸々の手続きを済ませ、その流れで遺品整理をするケースも多いようです。
遺品整理をするということは、遺族の気持ちの整理にも繋がることですから、色々な手続きと共に、流れで遺品整理をすることも良いでしょう。
亡くなられた後の諸々の手続きは、役所や保険だけでなく、公共料金の支払いの停止や、銀行のこと、そして、その後の相続についても関係してきます。
思っているよりもその作業は多岐にわたりますので、流れで一緒に進めていくことで、作業漏れがなくなり、一気に済ませていくこともできるのです。
③49日法要が済んでから

一般的には仏式(お坊さんが来て読経をする)葬儀が多いと思いますが、その場合、最初の大きな区切りとなるのが、忌明け法要や49日法要と呼ばれる法要です。
葬儀が終わって、1ヶ月~1ヶ月半という時間が経過し、少し気持ちも落ち着いて前に向かっていけるタイミングでもあります。
また、49日法要では親族が再度集まるという点も、遺品整理を始める良いきっかけになるでしょう。
遺品は故人の財産でもありますので、その整理には相続人の同意が必要となります。
49日法要で皆さんが集まられた時に、故人の遺品について話合って、遺品整理を進めていくと良いでしょう。
④相続の申告期限前
相続には、単純承認、限定承認、そして相続放棄の3つの方法があります。
一般的に、故人にプラスの財産を上回る遺産がある場合は単純承認を選択すれば良いのですが、そうでない場合、限定承認や相続放棄を選択しなくてはいけません。
この選択をする期日が、相続開始があったこと知った日から3ヶ月以内にしなければいけないのです。
もう少し分かりやすく言いいますと、故人が亡くなられた日から3ヶ月以内とも言えます。
そのため、3ヶ月以内に、遺品を含めた財産の整理をし、プラスの財産とマイナスの財産の把握をした方が良いためです。
以上のことから、遺品整理をいつからすると良いかは、特別な決まりはありませんが、一般的には49日の法要を区切りにして、遺品整理をされる方が多いように思います。
2.遺品整理はいつから?早くやっても良い?メリットデメリットをご紹介

では、遺品整理をなるべく早くやった方が良いのでしょうか?
特に、先述したような相続の問題を心配される方は、なるべく早く済ませる方が良いかもしれません。
そこで、遺品整理を早くやった方が良いかどうかについて、遺品整理を早く済ませる事のメリットデメリットをご紹介します。
遺品整理はいつからやるべき?早くすることのメリット3選!
遺品整理を早くすることのメリットは、次の事が考えられます。
賃貸住宅であった場合、余分な家賃の支払いが不要になる

賃貸住宅の契約は、契約した本人が亡くなられてもすぐには解消されません。
基本的には相続人がその契約も相続する、つまり引き継ぐことになるため、相続人が家賃を払っていかなければいけません。
そのため、早いタイミングで遺品整理をすることは、早めに契約の解除ができる事になりますので、余分な出費を押さえる事ができます。
故人の遺産の整理が出来、その後の相続などの手続きがスムーズになる

故人の遺品は、それも引き継ぐべき財産の一部です。
不動産や銀行の預貯金などだけではなく、家具や家電、そして趣味の物などの遺品も、同様に故人の財産だからです。
「故人はそんな財産がないから気にしなくても大丈夫」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、本当にそうなのかは、しっかり遺品整理をしなければわかりません。
そのため、早い段階で遺品整理を行うという事は、その後の相続手続きがスムーズにすすむことにも貢献します。
遺品整理を早く済ませることで、早い段階で気持ちの整理がつく

遺品整理をするということは、故人の生きていた証を整理することでもあります。
大切なご家族が亡くなられて、なかなかその事実を受け入れられず、いつまでも悲しみから回復できない方や、どこかモヤモヤとして気持ちが晴れない方も多いでしょう。
遺品整理は、そうした気持ちに区切りをつけ、気持ちを切り替えて前を向かせてくれる一助になるのです。
遺品整理はいつからやるべき?早くすることのデメリット
それでは、遺品整理を早くすることで発生するデメリットについても解説していきます。
親戚やご近所のウワサが立つ
遺品整理を早くすることで一番発生する可能性があるデメリットは、こうした心情的な部分のデメリットではないでしょうか。
「〇〇さんのお宅、まだ亡くなったばっかりなのにもう色々片付けているみたい。気持ちがなかったのかしら?」
「まだ49日も済んでいないのに、もう色々片付け始めているよ。冷たいね。」
このように、周りの方に冷たいと思われてしまう心配がないとは言いきれません。
遺品の処分までしてしまうと、単純承認とみなされる可能性がある
遺品整理を早めにすること自体は問題ありませんが、多く場合、遺品整理は不要な物の処分をする事に繋がます。
法的な解釈としては、相続人が故人の遺品を処分することは、財産を相続したと見なされます。
もし、故人に多額の負債があり、それを相続したくないと考えている場合は、相続放棄、または限定承認という手続きをしなければいけません。
財産の把握をする確認作業だけであれば問題ありませんが、処分までしてしまうと、前述したように「単純承認」したとみなされる場合がありますので、注意が必要です。
3.遺品整理をいつするか?遅らせると損してしまうかも?
遺品整理はいつするのが良いのでしょうか?早めにやることのメリットデメリットはご理解頂けたと思いますが、遅くする場合はどうなのでしょうか?
遺品整理をすることを遅らせた場合は、さらに次のようなデメリットが発生する可能性があり、場合によっては、あなたが大変な損をしてしまうケースもあります。

賃貸契約の場合、賃料を損する可能性がある
故人が賃貸住宅に住んでいた場合は、なるべく早く遺品整理をして部屋を明け渡すことにより、余分な賃料を支払わなくてよくなります。
また、契約を解除することを決めることによって、ある意味で遺品整理を完了させるべきリミットが決まりますので、気持ちを切り替えて、遺品整理を進めることもできるでしょう。
相続税が発生する場合がある

先にご紹介した通り、単純承認や限定承認などで、故人の遺品を相続する事が決定すると、相続財産によっては相続税の支払いが発生します。
遺品整理を遅らせる事によって、相続する遺産の把握ができず、なかなか相続税の納付が出来ないこともあります。
相続税の申請・納税は10ヶ月が期限となっていますので、この間に済ませられるように遺品整理をすすめると良いでしょう。
持ち家の場合、固定資産税の大幅増加や過料が課されるかも?
ご家族がお亡くなりになり、遺品整理などをしないまま家を放置していると、特定空家に指定されてしまう心配があります。
特定空家とは:参照サイト 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000035.html
空家等対策の推進に関する特別措置法関
通常、空家調査を経て→特定空家に指定→助言や指導などがあり、実際に固定資産税が増額されたり、あまりに酷く近隣の住人の生活環境に影響を及ぼすような状態を放置してしまうと、50万円以下の過料に課せられる恐れもあります。
すぐにそうした処分がくだされるわけではありませんが、その後、誰も住まない、住む予定がない場合は、早めに売却などを検討される方が良いでしょう。
4.遺品整理をする時の5つの注意点

遺品整理をするときは、以下の内容に注意して進めると良いと思います。
代表的な注意点をご紹介させて頂きます。
①遺言書やエンディングノートがないか確認する

遺品整理を始める時に、遺言書やエンディングノートがないか確認しましょう。
故人が遺品や財産の分配について、何か希望を残されているかもしれません。
いくつか種類がある遺言書ですが、正式な遺言書の一つで公正証書遺言というものがあり、原本が公証役場で保管されています。
もし可能性があると心配な場合は、公証役場にも確認しましょう。
②権利書、契約書、宝飾品などの重要書類・有価物の捜索
家や土地の権利書、さまざまな契約書、生命保険や各種有価証券などがないか、しっかり捜索しましょう。
その他、キャッシュカードやクレジットカード、マイナンバーカードなどのカード類、年金手帳、預金通帳、印鑑、実印、宝飾品など。

また、骨董品や趣味で収集していたものも、もしかしたら高額査定が付く場合もありますので、しっかりと仕分けをしておく事が大切です。
③負債の有無を確認し、相続するか検討する

不動産などの財産、高額査定が付く遺品なども故人の遺産となりますが、同時に、借金などの負の遺産もある可能性があります。
相続には、単純承認、限定承認、相続放棄とあります。
単純承認とは、プラスマイナスに関わらず、単純にそのまま相続するという方法です。
限定初認とは、マイナスの遺産があった場合、プラスの遺産と相殺してプラスマイナス0の範囲で相続し、それ以上のマイナス分は相続しないという方法です。
そして、プラスがあってもマイナスがあっても、相続しないという「相続放棄」
特に負債が多くある場合は、相続放棄なども検討する必要がありますので、遺品整理をするタイミングで遺産のマイナスの部分とプラスの部分をしっかり把握することが重要です。
④家族(相続人)の同意を得る
時々発生するトラブルとして、他の家族の同意を得ないまま、遺品整理をしてしまうケースもあり、注意が必要です。
遺品は、相続人全員の財産になります。
そのため、他の相続人(一般的には兄弟など)の同意を得ずに、勝手に処分してしまったり、売却してしまうことで、親族間の争いに発展することもありますので、絶対に全員の同意を得てから遺品整理を行うようにしましょう。
⑤遺品整理は計画的に!
遺品整理は、あなたが思っているより大変な作業である場合が多いのです。
特に故人が1人で住んでいた住居を丸ごと整理しなくてはいけない場合、とてつもない作業量になります。
・大切な物と、そうでない物の仕分け。
・保管しておかなければいけない書類など重要物の管理。
・不要品の整理と廃棄作業。
・遺品を買い取ってもらう予定であれば、買い取り業者さんに査定していただくなど。
・片付いたあとの清掃作業
ハッキリ言って、ちょっとやそっとの作業量ではありません。
大型の家具・家電などの整理や移動・処分は、ある程度力持ちの男性でも骨が折れる作業となるでしょう。
また、賃貸住宅であれば、退去日も決まってくると思いますので、時間的猶予があまりない場合もあります。
ですから、遺品整理は計画的に行うことが、とっても大切なのです。
5.自分達だけでやるのは大変!遺品整理の専門業者とは

遺品整理を行うのは、かなり大変な作業であるという事がお分かりいただけたと思います。
そこでオススメの方法は、遺品整理業者さんに全部お任せするという方法です。
しかし、これも注意が必要です。
遺品整理業は、まだまだ業界が未成熟であることや、お客様の方もそうそう経験することではないため、業者さんの出してくれる見積りが適切なのか、よくわからないと思います。
そのため、遺品整理を業者さんにお任せするには、必ず複数業者に相見積もりを取る事が大切です。
と言いますか、絶対に相見積もりを取るようにしてください。
実は私も経験があります。
悪徳業者とは言いませんが、想像以上に高額な見積りが出たのですが、
「思っていたより高いけど、こんなものかな?」
と、相場が分からないためにそのまま頼んでしまって、後からとっても後悔した経験です。
でも、だからといって、あなたが自分で複数業者さんに相見積もりを取るのは大変だと思います。
きっとどの業者さんも、見積りの説明や最初の案内は丁寧でしょうし、個別に話を聞いているだけでは、特に不自然なところは見つからないと思うのです。
また、複数業者さんに相見積もりをお願いする、ということは、何社かにお断りを伝えなければいけません。
それって、けっこうストレスですよね。
そんなあなたに、一括で複数の遺品整理業者さんに見積りを出してもらい、そして話をまとめてくれるサービスがあります。
遺品整理をいつまでにしなくてはいけないかは、あなたの状況によって異なりますが、色々な事を考えれば、実際にはあまり時間はないと思います。
手配が遅れていって失敗したり、損してしまう事がないように、まずは早めに相談だけでもしてみることをお勧めします。
6.遺品整理はいつからするの?まとめ
この記事では、主に遺品整理をいつまでにしなくてはいけないかについて解説しました。
まとめますと次の通りです。
■遺品整理は、いつまでにしなくてはいけないという決まりはありませんが、一般的には49日などの区切りをもって遺品整理する方が多いということ。
■遺品整理は相続の問題や、賃料の問題が発生するので、いつまでという期限はないけど、実際にはあまりゆっくりしていられないこと。
■遺品整理をする時の注意点は、遺言書などの有無の確認、契約書や権利書、預金通帳や印鑑、カード類、貴金属や骨董品などの有価物について、しっかり仕分けが必要。
■遺品は相続財産であるため、遺品整理には相続人の同意が必要なこと。
■遺品整理はとても大変な作業となる場合が多いので、専門業者さんに依頼することも考えると良い、という事についてお伝えしました。