親の死後、実家の片付けについて悩んでいる方は非常に多くいらっしゃいます。
誰がやらなければいけないの?
いつまでにやらなければいけないの?
どのような手順で進めれば良いの?
こんなことが分からず困っていると思います。
結論から言えば、親の家を片付けなければいけないのは、相続人となる方です。
一般的に言えば、お子さんですね。
親の家の片付けをいつまでにしなければいけないかは、それぞれのご事情によって異なります。
一般的には3ヶ月以内には済ませる方が良いとされます。
よくあるケースとしては、親が亡くなられて1ヶ月半くらいに行われる、49日(忌明け)法要を区切りに片付けをされる方が多いようです。
この記事では、それぞれ詳しく解説をしていきます。
あなたの実家の片付けを進めるのにお役にたてれば幸いです。
この記事でわかること
・親の家の片付けは誰がすべきか
・実家の片付けはいつまでにしなければいけないか
・実家の片付けをする手順とは
1.親の家の片付けは、誰がすべきなの?

親の家の片付けは、相続人であるあなたがしなければいけません。
もちろん、ご兄弟がいるなど相続人が複数いる場合は、その全員で片付けをすることになります。
相続について詳しくは後ほどお話しますが、相続することが決定すれば、親の家や、その家にある家財道具も全て相続人の物になります。
そのため、相続した人がその家の片付けをする必要があるということなのです。
「別に困らないので片付けなくても良い?」
そんなふうに考える方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、親の家が片付いていなくても、誰にも迷惑はかからないような気もしますよね。
しかし、実家の片付けをせずに放置し続ける事によって、あなたが大変な損をしてしまう可能性もありますし、誰かに迷惑をかけてしまう可能性もあるのです。
2.親の家を片付けず放置していると起こる問題とは

親の家を片付けずに放置していると、次のような問題がおこる可能性があります。
- 賃貸住宅だった場合、家賃がかかり続ける
- 電気、ガス、水道、電話、新聞などの料金がかかり続ける
- 親に借金など負の遺産があった場合、相続人が負担しなければいけなくなる
- 空家のまま放置していると、防犯上問題になる
- 外壁の破損などによって近隣に迷惑をかける
- 空家で放置することにより、資産価値の減少
- 病害虫の発生
- その他
いかがでしょうか。
親の家が賃貸ではなく持ち家で、相続に関する問題もなければ、しばらく放置しておいてもすぐに大きなトラブルは発生しません。
しかし、長い期間放置することは、色々とデメリットになることが多いのです。
3.親の家の片付けは、いつまでにしなければいけないの?

誰も住まなくなった親の家を放置しておくことは、あまり良い事ではないという事がお分かりいただけたと思います。
では、実家の片付けはいつまでにしなければいけないのでしょうか?
明確な期限はあるのでしょうか?
実家の片付けを進めるには、次のようなタイミングがあります。
①葬儀後
②49日(忌明け)法要後
③3ヶ月以内
④10ヶ月以内
この中で特に注意が必要なのは、③3ヶ月以内になります。
なぜ3ヶ月以内というタイミングが重要なのかと言いますと、相続をどうするか決めなければいけない期限だからです。
もし、亡くなった親に多額の借金など「負の遺産」があった場合、それを相続するか、それとも放棄するかを決めなければいけません。
相続には3つの方法があります。
- 単純承認
- 限定承認
- 相続放棄
特に問題のない場合は、単純承認で相続をすれば良いでしょう。
この場合は、3ヶ月という期間が来ても特に何かする必要はありません。
しかし、借金など負の遺産がある場合は、プラスの資産の範囲内で相続する「限定承認」か、プラスの資産もマイナスの資産も相続しない、「相続放棄」を選択する必要があります。
このいずれも、決定する期限が3ヶ月以内となっています。
親の家を片付けるということは、親の資産の把握をするということに繋がります。
資産の把握を早めに行うことで、適切な相続の方法を選択できることにもなるのです。
4.実家を片付けると決まったら、進める手順をご紹介

それでは、実家を片付けると決まったら進めるべき手順について解説していきます。
基本的には次にご紹介する手順で進められると良いと思います。
- ①遺言書や重要書類の捜索
- ②相続についてどうするか決める
- ③片付けのスケジュールなど計画をたてる
- ④仕分け作業と処分
- ⑤清掃
それぞれ詳しく解説していきます。
①遺言書や重要書類・貴重品の捜索

まずすべき事は、遺言書や契約書、権利書、年金手帳といった重要な書類関係の捜索です。
特に遺言書がある場合は、相続や形見分けなどに影響があることが多いため、最初に探すことが大切です。
もし遺言書が見つかった場合、公正証書遺言はその場で開封しても構いませんが、それ以外の遺言書の場合は、必ず家庭裁判所で検認をしてもらわなければいけません。
勝手に開封してはいけませんので、ご注意ください。
遺言書の検認について
[裁判所ホームページ]
もし遺言書が見つかれば、その内容にそって実家の片付けや遺品整理を進めるようにしましょう。
その他の書類については、のちのち必要となる場合も多いと思いますので、無くさないようによけておきましょう。
貴重品についても同様に、のちの形見分け、相続、または売却のためにきちんと整理して無くさないように分けておきましょう。
②相続についてどうするか決める

遺言書の内容や、実家の資産状況について確認ができましたら、相続をどうすべきか決定します。
借金などマイナスの資産がなく、特に問題になることがなければ単純承認で相続すれば良いと思います。
この場合は、特に何もする必要はなく、そのまま相続の手続きに進めばよいでしょう。
もし親に借金などマイナスの資産があった場合は、限定承認か相続放棄を選択する必要があります。
その場合は、3ヶ月以内に財産目録を作成し、家庭裁判所に申述しなければいけません。
相続の方法で、「相続放棄」を選ばなければ、基本的には実家の片付けや遺品整理を進めて問題ありません。
しかし、相続放棄をするのであれば、実家の片付けや遺品の整理は注意が必要です。
勝手に進めてしまったり、遺品の売却(処分も含む)をしてしまうと、単純承認したとみなされてしまう場合がありますので注意するようにしてください。
③片付けのスケジュールなど計画をたてる

相続など問題がなければ、実家の片付けについて色々と進めていけます。
ここで大事なのが、しっかりと計画をたてる、ということです。
特にあなたに兄弟や姉妹がいらっしゃって、複数人で協力して片付けをするのであれば、スケジュール設定など実家を片付けていくための計画はとても大切です。
実家の片付けは、仕分け作業・処分品の運び出し作業と、かなりの労働力を必要とします。
そのため、
大きな力仕事が必要な時
トラックなどレンタカーの手配
処分品を処分するために粗大ごみ回収日など
このようなタイミングの時は特にちゃんと計画して、全員が集まれるように調整しなければいけません。
また、それらに当然費用がかかりますので、その費用負担についても事前に話し合っておくと良いでしょう。
細かな掃除道具や、遺品整理のための段ボールやビニール袋など、意外にちょこちょこと費用がかかります。
こうした必要経費についても、事前のすり合わせは重要です。
実家が離れた場所にあれば、無計画に何度も行き来すれば、時間はもちろん交通費も馬鹿にならないでしょう。
なかなか兄弟間で交通費の請求はできないと思いますが、誰かが過度に負担を負うことがないように、しっかりと計画をすることが、スムーズな実家の片付けには不可欠なのです。
④仕分け作業と処分

計画ができましたら、いよいよ親の家を片付けていきます。
まずは仕分け作業です。
必要な物、思い出の物、不要な物、買い取りしてもらえそうな物、不要な物。
こうした物を仕分けていきます。
部屋の広さが十分にあれば、この部屋は残す物、この部屋は処分する物、と分けて置いておくと良いでしょう。
仕分けが済みましたら、不用な物を集めて処分していきます。
まだまだ使えそうな物があれば、どなたかが引き取っても良いでしょうし、リサイクルショップなどで買い取ってもらうことも良いと思います。
貴金属、高級腕時計、カメラ、着物、その他もろもろ、意外と多くの物が買い取りの対象です。
高額査定をしてもらうコツは、専門店に持ち込むことです。

また、何社かに相見積もりをしていただくことで、より高い金額で買い取ってもらえる可能性もあります。
ただし、基本的にはあまり高額な査定になることはありませんので、頑張って仕分けしてそれぞれ買取店に持ち込むより、処分する方向で整理した方が楽な場合もあります。
そのあたりは、実際の遺品を確認しながら、方針を決めていくと良いでしょう。
⑤清掃

親の家の片付けがある程度済めば、あとは清掃です。
解体するのであれば清掃は不要かもしれませんが、そうでない場合は、清掃しておくことが必要です。
汚れやホコリを放置したままですと、病害虫の発生にもつながりかねません。
次の用途や、資産価値を高めるためにもしっかりと清掃はしておくと良いでしょう。
こちらもご参考に>実家の片付け・遺品整理で失敗しない方法
5.誰も住まなくなる実家をどうすると良いか。3つの選択肢

親の家が、その後誰も済む予定がない場合もあると思います。
長年暮らした実家ですから、他人の手に渡るのも寂しい気がします。
また、もしかしたら古くてもう住み続けることができない状態かもしれません。
古民家と言えるほど古ければ、最近流行の古民家カフェや、移築などで活用する未来もあるかもしれません。
しかし、一般的な家屋の場合は、次のいずれかの方法になると思います。
- ①家族が継続して住む
- ②賃貸住宅として貸し出す
- ③売却する
①家族が住む

あなたや、他の家族が継続して住むことが選択肢の一つだと思います。
この場合は、特に難しい問題はありません。
よくある話ですし、相続の問題がなければ注意することはないでしょう。
日本の家は短寿命だと言われますが、ちゃんとメンテナンスやリフォームをしてあげれば、十分長く住むことができます。
また、固定資産税も最低の金額になっていると思いますので、新築の家に住むよりメリットが多い場合もあります。
思い出のつまった実家だと思いますので、もしどなたかが住むことが出来るのであれば、それが一番良い方法なのではないでしょうか。
②賃貸住宅として貸し出す

家族の誰も住むことが出来ないけど、まだまだ十分住める状態であれば、賃貸住宅として貸し出すことも良いと思います。
借家として貸し出す場合は、契約方法に注意しましょう。
もしあなたや家族の誰かが、近い将来その家に住む可能性があるのであれば、定期借家契約がオススメです。
この契約方法であれば、契約期間がこれば確実に退居してもらうことができます。
ただ、この契約方法の場合は借主が見つかり難いという問題に加え、一般的に賃料も安くなるのがデメリットです。
一般的な普通借家契約の場合は、将来的にあなたや家族が「住みたい」と思っても、入居者が住み続けたいという意向がある限り、出て行ってもらうことはできません。
また、実家を貸し出す場合は管理の方法がいくつかあります。
ひとつは全て自分で管理する方法で、自主管理と言われます。
管理費用が不要なので、収入的なメリットは大きい反面、家賃の回収・クレーム対応・修繕などの対応を全て自分でおこなわなければいけません。

もう一つは、管理会社に委託する方法です。
家賃の5~15%程度がコストとなりますが、管理会社に全てお任せできるので最も多く利用されている方法といえます。
この他に、サブリースと呼ばれる方法がありますが、これは不動産会社などに借りてもらい、不動産会社が居住者に貸す、いわゆる「また貸し」という方法です。
この方法は、手間もかかりませんし、家賃が入ってこない空室のリスクもありません。
ただし、不動産会社の利益を差し引かなければいけないため、あなたの収入は少なくなります。
いずれにしても、誰も住まずに空家の状態であることは、建物がどんどん痛んでいくことに繋がりますし、防犯上もよくありません。
立地や状態がよく、売却しないのであれば、ぜひ賃貸経営を検討しましょう。
③売却する

誰も住まない、賃貸経営もする気はない、ということであれば、売却が最も良い選択だと思います。
売却する場合は、まずは不動産屋さんに査定をしてもらいます。
しかし、査定額だけで判断すると、あとあと痛い目をみることもあります。
それは、不動産屋さんが契約欲しさに高い査定を付け、結局なかなか売れずに値下げを繰り返すことになる、ということです。
最近はインターネットで複数の不動産業者に一括査定してもらえるサービスもありますので、こうしたサービスを利用すると良いでしょう。
家の売却方法は、買い取りと仲介があります。
買い取りは、不動産屋さんに買い取ってもらう方法です。
すぐに現金化できる反面、相場より安くなってしまうことが多く、時間に余裕があるのであれば、仲介を選ぶようにしましょう。
6.親の家の片付けを業者さんに頼む方法
少し話を戻します。
親の家を片付けるということは、かなりの重労働に加え、かなりの時間がかかることがお分かりいただけたと思います。
今は多くの方が親の家の片付けや遺品整理について困っていらっしゃいます。
その理由の多くは、核家族化や少子化によって、親と同居しない世帯が増えたことです。
また、同じ土地に住み続けるという感覚も稀薄になっており、「先祖代々の家」「先祖代々の土地」という感覚もどんどんなくなっています。
また、長寿化によって、親の家を片付けなければいけない子どもも、それなりの年齢になっています。
そのため、家具や家電を動かしての大掃除や片付けは、肉体的にも困難な方がほとんどなのです。

そうしたことから、今は実家の片付け、遺品整理をプロに頼む人が大変多くいらっしゃいます。
需要の増加に伴い、遺品整理業者さんも大変多くなりました。
しかし、遺品整理は一生のうちに何度も経験することではないため、「よくわからない」ことが多いのです。
そこに付け込む悪徳業者がいることも確かです。
そのため、遺品整理をプロに頼むのであれば、必ず相見積もりを取るようにしてください。
不動産業者と同様に、遺品整理も複数の業者さんに一括見積もりができるサービスがあります。
見積もりは無料ですから、相談だけでも構いませんので、一度問合せてみてください。
費用について詳しくはこちら>遺品整理の費用について
7.親の家の片付けについてまとめ
この記事でご紹介したことをまとめます。
・親の家の片付けは誰がすべきか
相続人である子どもなど
・実家の片付けはいつまでにしなければいけないか
いつまでという決まりはないが、相続の決定のため3ヶ月以内が望ましい。
・実家の片付けをする手順とは
①遺言書や重要書類の捜索
②相続についてどうするか決める
③片付けのスケジュールなど計画をたてる
④仕分け作業と処分
⑤清掃
そして実家を貸す方法や、売却についてもご案内させて頂きました。