親が亡くなった後の実家。ゴミ屋敷となっていて唖然とした方は意外と多いのです。
もちろん、ゴミ屋敷と言っても程度の違いはあります。
テレビで特集されたり報道されるような正真正銘のゴミ屋敷までいかずとも、
「私に言わせればゴミ屋敷だ」
と思ってしまうレベル家は少なくありません。
この記事では、親の死後、実家がゴミ屋敷となっていた時の片付け方法について解説していきます。
反面教師と言いますか、「実家がゴミ屋敷にならない為にも」という生前整理にも役立つと思いますので、まだ親御さんが健在な方も、ぜひ最後までご覧いただければと思います。
この記事でわかること
・ゴミ屋敷化した実家の片付け方法2択について
・ゴミ屋敷を自分達で片付ける方法
・業者さんに依頼する時のポイント
1.死後、ゴミ屋敷となった親の家を片付ける手段は2択?

親の死後、実家がゴミ屋敷と化していることに唖然とする方は少なくありません。
本当に足の踏み場もないほどのゴミに埋もれてしまっている家もありますが、何とか日常生活はできるものの、とても整っているとは言い難いというレベルまで、ゴミ屋敷の程度はいろいろです。
実際にゴミ屋敷となってしまっている実家を片付けるには、次の2つの方法しかありません。
①自分達で頑張って片付ける
②業者さんに依頼する
何とか自分達でも片付けられるかな?というレベルであれば、この後にご紹介する片付けの手順を参考にして頂くと良いでしょう。
でも、一目見て、
「これはいわゆるゴミ屋敷だ!」
と思ってしまうレベルの場合は、業者に依頼した方が良いケースもあります。
自分達で実家の片付けを行うかどうかは、次の項目を確認して検討しても良いでしょう。
- 業者さんに依頼する費用が捻出できるか?
- 兄弟や孫たちなど、人手は確保できるか?
- 作業する時間が確保できるか?
一つずつ詳しく解説します。
業者さんに依頼する費用が捻出できるか?

ゴミや処分品の量や家の広さによりますが、戸建てなら40万円~60万円くらいは必要な場合があります。物量によってはもっとかかる場合もあるでしょう。
アパートやマンションでも、30万円前後は予算として考えておく必要があります。
この費用が捻出できるかどうかも、業者さんに依頼するかどうかの判断基準と言えます。
ただ、自分達でやれば全く費用をかけずに片付けができるか?と言うと、そういう訳には行かない場合が多いです。
片付け作業用の道具を揃える費用や、ゴミ袋・段ボール・清掃道具などの消耗品。
ゴミや家財道具を運ぶためのトラックレンタカー代、ゴミや家具家電の処分費、そして作業中の飲食費など。
数万円~10万円くらいの費用は、簡単に必要となってきます。
さらに、実家が遠方にあれば、そこまでの交通費や宿泊費も必要かもしれません。
兄弟や孫たちなど、人手は確保できるか?

自分達で実家のゴミ屋敷を片付ける場合、どうしても人手が必要です。
ゴミの量や家の広さによりますが、プロに依頼した場合でも、3~5名で数日かかる作業になります。
慣れていない方であれば、少なくとも倍の時間はかかると考えた方が良いと思います。
作業する時間が確保できるか?

人手の問題とも共通しますが、作業する時間が確保できるかも重要なポイントです。
やはり、一気にやってしまう方が作業効率は良いため、まとまった作業時間の確保が必要です。
特に、実家が賃貸住宅の場合は、いつまでも片付けが終わらないと、家賃もかかり続ける事になります。
また、周辺の住民にもご迷惑をおかけする事にもなりますので、より短期間で集中して作業する必要があるのです。
関連記事:親の死後、片づけはどうすれば良いの?
2.なぜゴミ屋敷になってしまったの?

そもそもなぜ実家はゴミ屋敷になってしまったのでしょうか?
「お母さんは綺麗好きだったのに、なんでこんな風になってしまったの?」
と悲しくなる方も多いです。
実家がゴミ屋敷になってしまう理由は、大きく次の3つの理由があると言われます。
- 高齢化によって認知力・体力・気力が衰えるから
- もったいない精神
- 認知症や身体障害
高齢化によって認知力・体力・気力が衰えるから

高齢化することによって、認知力や体力、そして気力が衰えていきます。
これは加齢によるものですから、ある意味仕方がない部分も多いのです。
認知力の低下によって、判断力や記憶力も低下します。
そのため、以前買った物のことを忘れてしまうために何度も同じ物を買ってしまったり、必要・不必要の判断ができないことで、物を捨てられなくなって貯め込んでしまうのです。
体力が低下することで、片付けたり掃除する元気がなくなります。
また、「自分1人だからいいや」と、片付ける気力もなくなっていきます。
気力がなくなる原因は、意義を見いだせないからです。
人は誰かのためになら頑張れるものです。
しかし、家族もおらず、自分1人で毎日ぼーっと暮していると、そうした気力もなくなっていきます。
また、気力の衰えからくる寂しさを紛らわすために、物に依存して貯め込んでしまう方もいらっしゃいます。
もったいない精神

昭和初期や前半生まれの方に多いのが、もったいない・いつか使うという考え方です。
戦後の、物のない時代を過ごした方に根強いもったいない精神です。
いつか使うだろう、○○さんにいただいた物だから、と、なかなか物を捨てることができない方が多いのです。
こうして貯め込まれたものが、収納スペースを埋めてしまいます。
そうすると、日用品を収納するスペースがなくなることによって、生活空間に物が散乱していくようになってしまうのです。
認知症や身体障害
加齢による認知症や身体障害をわずらっていることで、片付けられない現実もあります。
また、今でこそ大人の発達障害も知られるようになってきていますが、実はもともと発達障害を抱えている方もいらっしゃいます。
計画性、集中力、優先順位の判断などが付けられない方が、さらに高齢化することによって家の片付けまで手が回らない・気が回らないようになってしまうのです。
3.自分達でゴミ屋敷化している実家を片付ける手順

ここからは、自分達で実家のゴミ屋敷を片付ける手順について解説していきます。
もちろん、それぞれのご家庭の事情や環境は異なりますので、順番は厳密に守る必要はなく、ケースバイケースで前後していただいて構いません。
一番大切なのは、ここでご紹介する手順をご覧頂いた上で、最初にしっかりと計画をすることです。
片付けをするゴミの量や、作業する日程、処分する物をどこに持っていくか、トラックなど車のレンタルは必要か?
そういったことをしっかり計画して行う必要があります。
スケジュールを決め、手伝ってくれる人を確保しましょう。
また、大型の処分品を自治体の粗大ごみに出す場合などは、出せる日が決まっていますので、そうした確認も必要です。
それでは、先に手順を一覧でご紹介します。
- ①殺虫と道具の準備
- ②避難部屋を作る
- ③重要書類・貴重品・思い出の品の捜索
- ④ゴミをまとめる
- ⑤大きな家具・家電の搬出
- ⑥清掃
それぞれ詳しく解説していきます。
①殺虫と道具の準備

ゴミ屋敷となっているお宅は、栄養となるゴミが大量にあるため害虫の発生している可能性が非常に高いと言えます。
主にはゴキブリ、ハエ、ダニ、そしてネズミです。
ネズミの駆除はちょっとやそっとでは出来ませんが、人間が出入りしている間は隠れている事が多いので、まずは気にせず始めましょう。
手軽にできる殺虫方法としては、くん煙(煙・霧)タイプの殺虫剤です。
このタイプの殺虫剤は、基本的に1部屋に一つ使用します。
くん煙タイプの殺虫剤を使用する時は、次の手順で行います。
火災報知器があれば、電池を外すかビニール袋などで本体をおおい、テープなどで落ちてこないようにしっかり押さえます。
まだまだ使えそうなテレビなどの家電・食器・生活家電があれば、電源が切れている事を確認して、新聞紙や布などでカバーをしましょう。
そして窓を閉めきり、一番奥の部屋から順番にどんどんスタートしていきます。
殺虫剤は2時間以上置いた方が良いとされていますので、半日程度はそのまま放置すると良いでしょう。
その間に道具の準備をしていくと効率的です。
必要な道具類を表にしましたので、参考にしてみてください。
・ゴミ袋 ・段ボール | 可燃ごみ・不燃ごみ・プラスチックやビン・カンなど、分別できるように複数種類のゴミ袋を用意してください。また、自治体で処分できないゴミのために厚手で破れにくい大きめの袋もあると便利です。 貴重品・不用品の仕分けや搬出のために、段ボール箱も複数準備しましょう。 大きな袋・大きな箱の方ががいっぺんに収納して運べるので便利そうですが、大変重くなりかえって効率が悪い場合があります。ほどほどのサイズの袋・箱がオススメです。 |
・ゴム手袋 ・軍手 ・ビニール手袋 ・使い捨てプラスチックグローブ | 作業効率アップと、ケガ防止、衛生面からも必須のアイテムです。 |
・作業着 ・エプロン ・マスク | 捨てても良いジャージなど作業がしやすい服装であれば何でも構いません。たいていは汚れて廃棄することになりますので、破れたり汚れても良い服があると良いでしょう。臭い・ホコリ・害虫やその死骸・糞などの対策としてマスクは必須です。 |
・養生テープ ・ガムテープ ・セロハンテープ ・古新聞 ・ビニール紐 | 段ボールや袋の封や、破れた袋の補修に養生テープやガムテープが活躍します。また、荷物の搬出時に引き出しが出てこないようにする為にも養生テープを活用します。古新聞は液体の物の処分や、残しておくものを梱包する時に使用します。 |
・解体道具 ・掃除道具 | 家具や家電を解体するために、プラスやマイナスのドライバー、あれば電動の工具が便利です。また、ハンマー(通常の物と家具解体用のプラスチックハンマー等)やのこぎり、六角レンチやモンキーレンチ、ペンチ、ニッパーもあると便利です。掃除道具としては、雑巾・ほうき・ちりとり・ブラシ・たわし・歯ブラシなど。 |
・殺虫剤 ・洗剤 | 作業中に出てくる害虫対策として、スプレー式の殺虫剤も複数本用意しておくと良いでしょう。作業後の清掃のために、洗剤も各種必要です。 |
・応急セット | バンドエイド、消毒液などちょっとした切り傷などには対応できるようにしておきましょう。 |
②避難部屋を作る

作業をすすめるにあたり、まずは避難部屋を作ると効率的です。
避難とは、あなた達の避難ではなく、貴重品や重要書類、その他残しておく物の避難場所です。
比較的綺麗で物がない部屋があれば、その部屋をいったん空っぽにして、非難部屋としましょう。
スペースがあれば、あなた方の休憩室としても良いと思います。
作業中に水分補給は欠かせませんので、お茶、お水、お茶菓子などを用意しておいても良いと思います。
③重要書類・貴重品・思い出の品の捜索

避難部屋が出来ましたら、まずは重要書類や貴重品、思い出の品を捜索します。
完全にゴミに埋もれていて、とても先に捜索ができないような状況であればゴミを出しながらの方が効率が良い場合もあります。
ただ、ある程度もともとの実家の状況を把握していて、
「確かここらへんにしまってあるはず」と目星がつくのであれば、先に重要書類や貴重品などの捜索をしましょう。
権利書・契約書・年金手帳・印鑑・通帳・宝飾品、そしてアルバムなどの思い出の品です。
ここでのコツは、そうした物を見つけたら、まずは避難部屋に集めることを優先し、中身の確認は後回しにすることです。
確認を始めてしまうと、完全に作業の手が止まってしまいます。

「懐かしいね!」
「これ見て見て!」
「こんな物があったよ!」
気持ちは分かりますが、そうして作業の手が止まることは容易に想像できると思います。
④ゴミをまとめる

貴重品の捜索が終われば、どんどんゴミをまとめていきます。
ここでももちろん貴重品の有無には気をつけるものの、基本的には機械的にどんどんゴミをまとめていきましょう。
なるべく自治体のゴミに出せるように、それぞれの地域の分別ルールにのっとった分別をしながらまとめていきます。
まとめたゴミは、庭などにまとめておけるスペースがあれば、種類ごとに積み上げていきましょう。
外に仮置きするスペースがなかったり、ご近所の手前出しておけない場合は、避難部屋と同様にゴミ部屋を作り、分別した物から詰め込んでいきます。
できればゴミ集積部屋は、後から外にゴミを出しやすい大きな掃き出し窓のある部屋や、玄関に近い部屋などが良いと思います。
ゴミの分別が終わりましたら、搬出して処分します。
基本的にはゴミとしての処分になると思いますが、次の物は地域のリサイクルセンターなども活用すると良いと思います。
・段ボール
・布(衣類など)
・ビン
・アルミ缶
・その他
⑤大きな家具・家電の搬出

次に、テレビ・冷蔵庫・洗濯機などの大型家電や、タンス・ダイニングテーブル・ベッドなどの家具を搬出します。
この時に、1人で持てないような家具は解体すると作業が楽に進められます。
年式が新しい家電や、状態の良い家具は、リサイクルショップなどで買取してもらえる場合があります。
大きな金額にはなりにくいのですが、多少は経費の足しになることもあると思います。
また、査定金額が0円で買取は出来ないけど、無料引き取りをしてもらえる場合もあります。
⑥清掃

全ての物を搬出しましたら、実家の清掃を行います。
実家を解体処分することが決定していれば清掃は必要ないとも言えますが、そうでない場合は、次の3択になると思いますので、しっかりと清掃をすることが必要です。
- 家族の誰かが住む
- 賃貸に出す
- 売却する
いずれの場合も、綺麗になっていることで実家の価値が高まりますので、必要に応じてリフォームなども検討すると良いでしょう。
4.生前整理のすすめ。そもそもゴミ屋敷化しないために
生前整理という言葉をご存知でしょうか?
今まで解説してきたことは、親が亡くなったあとの実家の整理、つまり遺品整理の方法についてです。
しかし、こうした大変作業は、親が生きている間に行う生前整理をすることで、死後の片付け作業が軽減されたり、スムーズにすすめる事も可能になってきます。
しかし、それよりももっと大きなメリットがあります。
そのため、できることならば親が元気なうちに生前整理をしておけると良いでしょう。
5.生前整理は親に安心して長生きしてもらうための活動

生前整理や終活は、言葉の響きから「死ぬために色々と整理しておく」ことと思われがちです。
しかし、生前整理も終活も、決して死ぬための準備や、死ぬ時に備えての準備ではありません。
生前整理は、親に安心して長生きしてもらうための活動なのです。
あなたは、高齢者が要介護や寝たきりになってしまう原因をご存知でしょうか?
厚生労働省の調査※によると、骨折・転倒は高齢者の介護が必要になった要因として4番目に多く、
1位:認知症
2位:脳血管疾患
3位:高齢による衰弱
そして4位が骨折・転倒によるものとなっています。
※厚生労働省 平成28年国民生活基礎調査より
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/
他にも色々な病気など原因があるにも関わらず、骨折・転倒が第4位です。
つまり、実家の生前整理をおこない、つまづいたり転んだりする危険性が少ない状態を維持するということは、要介護のリスクを減らせるということなのです。
6.実家のゴミ屋敷を片付けるのはムリだと思った方へ。業者選びのポイント

ここまで、実家のゴミ屋敷を片付ける方法について解説をしてきましたが、はっきり言ってものすごい作業量です。
ゴミ屋敷のレベルにもよりますが、本当に足の踏み場もないようなゴミ屋敷であれば、正直素人の手におえるものではありません。
そもそも、いくら家族とはいえ、何人もの人に何日も、片付け作業のために時間を作ってもらうことは出来ないでしょう。
また、自分達で行ったとしても、それなりに費用がかかることもイメージできると思います。
実際、何とか自分達でやろうと試みたけど、断念して業者さんに依頼する方も多くいらっしゃいます。
そこで、ゴミ屋敷となった実家の片付けや、生前整理をしたいと思った時の、業者選びのコツをご紹介します。
それは、複数の業者さんで相見積もりをするということです。

家電や車などと違って、ゴミ屋敷などの特殊清掃は相場があってないような物です。
ゴミ屋敷の片付けなどの特殊清掃を行っている業者さんのホームページなどには、だいたいの相場が表示されている場合がありますが、正直あまり参考になりません。
特殊清掃は、ゴミの量、その他の家財道具の量、家の広さ、階数、トラックを目の前に止めて置けるか?エレベーターはあるか?など、色々な条件によって料金が変わってきます。
そのため、1社の見積もりでは適切な料金かどうか誰も判断できません。
また、業者さんによっては含まれているサービスの内容が異なります。
簡易的な清掃まで含まれた料金の業者さんもいますし、ハウスクリーニングは別料金の場合もあります。
ですから、もしあなたが実家のゴミ屋敷清掃を業者さんに依頼するのであれば、かならず複数社に見積もりを依頼しましょう。

今は複数の業者さんに一括見積もりを依頼できるサービスがありますので、そうした所を使うと便利です。
見積もりは完全に無料ですから、勉強のためだけでもお願いしてみる価値はあると思います。
7.実家がゴミ屋敷!片付け方法についてのまとめ
この記事では、ゴミ屋敷となってしまった実家の片付けについて色々と解説してきました。
記事の内容を簡単にまとめます。
■ゴミ屋敷化した実家を片付ける方法は、次の2択です。
- ①自分達でやる
- ②業者さんに依頼する
なお、自分達でやるかどうかは、次の内容を参考にして決めていただくと良いでしょう。
- 業者さんに依頼する費用が捻出できるか?
- 兄弟や孫たちなど、人手は確保できるか?
- 作業する時間が確保できるか?
■ゴミ屋敷を自分達で片付ける方法は、次の手順がオススメです。
- ①殺虫と道具の準備
- ②避難部屋を作る
- ③重要書類・貴重品・思い出の品の捜索
- ④ゴミをまとめる
- ⑤大きな家具・家電の搬出
- ⑥清掃
■業者さんに依頼する時のポイント
かならず、複数の業者さんに相見積もりを依頼すること。