大切な家族、特に母親が亡くなった場合は非常に悲しみが強いと言われます。
意外に思われる方も多いかもしれませんが、特に男性の方にその傾向が強いようです。
いつまでも遺品を放置したままで良いとは思っていないけど、どうにも母の遺品整理は手が進まない。
そんな方は少なくありません。
しかし、遺品をそのままにしておくと、相続など事務的な手続きが進まない場合もありますし、何より気持ちの切り替えができないことで、いつまでも前を向いていけないことがあります。
この記事では、母親が亡くなった後の遺品整理を進めていくアドバイスをしています。
もちろん、母親のケースでなくとも参考になる所はたくさんあると思いますし、まだご両親がお元気でいらっしゃる方も、いずれ訪れる可能性として知識を得ておくことは大切な終活の一部だと思います。
ぜひ最後までご覧いただければと思います。
この記事でわかること
・母の遺品整理にあたり気持ちの切り替え方
・遺品整理のコツと手順
・遺品整理業者選びのポイントと具体的な方法
母の遺品整理はなかなかできないもの

遺品整理はつらいものです。
特に母の遺品となると、父の時はそれほどでもなかったのに、母の遺品はなかなか整理が進まない、という方が少なくありません。
冒頭にも書いた通り、特に男性の方にその傾向が強いように思います。
お葬式の時も、「父の時は泣かなかったけど、母の時は辛くてダメだ」という方は多くいらっしゃるようです。※1級葬祭ディレクター談
もちろん、父、母どちらの方が辛いということではありませんが、大切な方の遺品を整理するということは、基本的に色々な物を処分するということです。
思い出を捨ててしまうようで寂しい
本当に別れることになってしまう気がする
思い出があふれてきてつらい
こんなふうに思う方は多く、あなただけではないという事は知っておいてほしいと思います。
母の遺品整理を始めるためのきっかけとは
では、そんふうになかなか母親の遺品を整理する手が進まなかった方達は、どんなことをきっかけにして遺品整理を進められたのでしょうか?
何名かのお声を頂きました。

私の気持ちとして、なんだか寂しくて手が付けられなかったことと、「何を処分して良いか」「何を残さなきゃいけないか」の判断が難しかったこともあり、母の遺品整理が延ばし延ばしになっていました。しかし、半年ほど経過したところで兄弟たちから「協力するので」と声をかけてもらい、一緒に時間を作って整理をすることができました。

いつまでもクヨクヨしていても仕方ない、と思い、母が亡くなって1年後の一周忌までに片付けようと決意して進めました。

49日法要が終わったあとで、兄弟や親戚に時間をもらい、母の遺品の形見分けをしました。それを皮切りに、他の遺品も思い切って整理しました。

母が亡くなり2ヶ月ほどなかなか手が付けられなかったのですが、相続をどうするか申告する期限が近づいていたので、財産把握のためにも母の遺品整理に踏み切りました。他の兄弟からも「そろそろ相続をどうするか決めないとマズいよ」と言われたこともきっかけでした。

私はなかなか気持ちが進まなかったのですが、妹がサッパリした性格で、どちらかと言うと妹主体で母の遺品整理をすることができました。終わってみれば、寂しい気持ちもありますが、スッキリした気持ちの方が大きいですね。
どなたにも共通するのが、自分の気持ちだけでなく、周りの意見や物理的な時間制限などをきっかけに、母の遺品整理を進められたようですね。
自分1人だけで考えているとなかなか踏ん切りが付かないこともあると思いますが、周りの意見や同意をもらうことは、大きなきっかけとなるのだと思います。
あなたが一人っ子であれば兄弟の意見はもらえませんが、そうであったとしても、叔父や叔母など親戚の方の意見ももらうと気持ちが楽になると思います。
第三者はあなた程大きな気持ちはありませんので、冷静な意見をくれます。
たいていの方は「早く片付けた方が良いと思うよ」とアドバイスをくれます。
実際にそうなのです。
遺品整理は、あまり早くやり過ぎると本当に寂しさが強くなってしまう事もあります。
しかし、基本的には遅くなればなるほど作業が困難で損をすることが多くなるのです。
あなたにも経験があると思いますが、「自分でもやらなきゃ」と思っている時には、誰かに背中を押してもらうだけでスッと動けることがあります。
ぜひ、自分だけで悩んで抱え込まず、近い人に相談してみるようにしましょう。
もし、近くに相談出来る方がいなければ、業者さんに話を聞いて見るのも良いと思います。
遺品整理を進めるコツと4つの手順

遺品整理をやろう!と思い立ったら、頑張って進めていくだけです。
でも、遺品整理を進めるにはコツと手順が大切です。
それぞれ順番に解説していきたいと思います。
遺品整理を進める2つのコツ
遺品整理を進めるコツは2つあります。
遺品整理を進めるコツとは、ある程度の計画を作ることと、下調べをするということになります。
無計画に進めたり、下調べもしないで遺品整理をすると、大変な損をしてしまう場合があります。
計画とは、次の様な内容になります。
- いつまでに終わらせる
- 誰がやる
- いつ作業をする
- 費用(必要経費)は誰が負担する
- 自分達でやるか業者に頼むか
これらの事を事前に計画して、決めておくと良いでしょう。
次に下調べについてですが、
- 業者に依頼する場合、どうやって選べば良いか
- 遺品整理の費用はいくらが適切か
- 遺品を買い取ってもらうならどうすれば良いか
以上のことは、しっかり事前に調べておかないと、とても損をする可能性があります。
遺品整理を進める手順その①捜索

それでは遺品整理を進める手順を解説していきます。
まず第一に進めるべきことは、重要な遺品の捜索です。
特にまず探したいのは、遺言者やエンディングノートといった、亡くなった故人の想いや遺志を記したものになります。
もちろん、正式な遺言者が出てきたら、それに書かれた内容にそって遺品整理や形見分けなど相続をしなければいけません。
エンディングノートは法的な強制力はありませんが、お母さまの遺志や想いを最大限尊重することは大切です。
そして次に、年金手帳や権利書、貯金通帳や印鑑、各種明細などといった重要書類の捜索です。
既に回収済みであれば良いのですが、まったく捜索していないのであれば、紛失したり破損させないよう、最初に探しておくと良いでしょう。
さらに現金や宝飾品などの貴重品の捜索をします。
特に高齢者の多くが、ある程度の現金をタンスにしまい込んでいることがありますので、しっかり捜索するようにしましょう。
遺品整理を進める手順その②仕分け

遺言書や貴重品などの捜索が終わりましたら、次は仕分け作業です。
仕分けとは、次の内容で遺品を分別することです。
- ①不用品
- ②処分品
- ③思い出の品
- ④形見分けや売却が可能な物
①不用品
不用品とは、家族は誰も必要ないけれど、買取に出せそうな物になります。
家具や年式の新しい家電などが該当します。
②処分品
処分品とは、確実にゴミだろうと思われる物です。
生活雑貨、食品、調味料、衣服、食器類などが主な処分品になると思います。
③思い出の品
思い出の品とは、アルバムやおもちゃ、記念品などになります。
④形見分けや売却が可能な物
時計、ブランド品、着物、骨董品、趣味の収集物などが該当します。
着物や趣味の物については、友人や親戚に形見分けでもらってもらう事もできると思いますし、形見分けをする方がいらっしゃらなければ売却することも良いと思います。
遺品整理を進める手順その③形見分け

②の手順で仕分けが出来ましたら、母の遺品をもらってもらえる方に形見分けをします。
もちろん、あなたや他の家族が引き取っても構いません。
ただし、遺言書などに形見分けの指定があれば、それに従うようにしましょう。
形見分けは家族だけではありません。
例えば、生前に親しくしていた友人の方や趣味の仲間であれば、喜んでいただけることもあるでしょうし、何よりお母様の遺品を大切に使ってもらえることでしょう。
大事にしていた物を処分することなく、使い続けてもらえるということは、供養にもつながることだと思います。
また、形見分けとは少し違いますが、寄付をするということも選択肢の一つです。
特に楽器などは、学校や施設などで喜ばれるケースもあります。
他にも本やレコードなども可能性があると思います。
捨ててしまうにはもったいないと思える物があれば、そうした可能性も考えてみるのも良いと思います。
遺品整理を進める手順その④片付けと処分と清掃

仕分けや形見分けが終わりましたら、実際に片付けと処分を進めていきます。
家具、家電、衣類などの不用品を処分しますが、テレビ・冷蔵庫・エアコン・洗濯機は家電リサイクル法に定められた4品目です。
適切に処分しなければいけませんので、必ず対応できる業者さんに依頼するようにしましょう。
家電4品目の「正しい処分」早わかり!
参考:経済産業省 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/kaden_recycle/fukyu_special/
家具については、自治体の粗大ごみに出せる場合は一番安く処分が可能ですが、タイミングが合わない場合やルールが難しい場合もあります。
そうした場合は、不用品回収業者さんに依頼するか、自分達でクリーンセンター等に持ち込むといった処分方法が良いでしょう。

ダイニングテーブルや椅子、ベッド、タンス、食器棚、カーペット、布団、その他の家財があることが普通ですから、かなりの荷物量です。
どのように運び出すか、何で運搬する(自家用車・レンタカー)か、どのように処分するか、などをキチンと計画しておかないと、なかなか作業が進みません。
物によっては解体しないと搬出できない物もあるかもしれませんね。
それなりの力仕事になりますので、若い男の方の手がないと難しい作業かもしれません。
そうした片付けや処分の作業が済みましたら、清掃です。
どの程度の清掃が必要かは、その後その家をどうするかによって違ってきますが、継続して誰かが住むのであれば、しっかりと綺麗にする必要があると思います。
母の遺品整理をプロに頼むなら。業者さん選びの3ポイント

さて、ここまで手順をご覧頂いて
「こりゃ大変だ」
と思った方も多いと思います。
実際、遺品整理は大変な作業です。
気持ちの面でも寂しくなったり辛いことも多いですが、体力的にも相当な労力が必要な場合が多いです。
また、日本は超少子高齢化社会です。
遺品整理をする子どもや孫の人数も少ないですし、亡くなった方の遺品整理をする子どもまた、高齢者であることがほとんどです。
そんな理由から、遺品整理を業者さんに依頼する人は大変多くいらっしゃいます。
しかし、一言に遺品整理業者に依頼するといっても、どうやって業者さんを選べば良いか分からないでしょう。
そんなあなたに、優良な業者さんの選び方をご紹介します。
ぜひ参考にしていただければと思います。
優良な遺品整理業者の選び方①見積もり書の内訳

まずは見積書です。
必ず見積書をもらうようにしましょう。
そしてその見積書の内訳がしっかりと明記されているか確認することが重要です。
遺品整理は、家によって金額が異なります。
業者さんのホームページなどには、ある程度の目安費用が記載されていますが、同じ部屋数であってもその金額でできるとは限りません。
理由は、広さが違う、荷物の量が違う、立地が違う、時間が違う、汚れ具合が違う、買取の有無や量が違うなど、同一の条件などあり得ないからです。
平屋と2階建てでも作業難易度は違います。
マンションなど集合住宅であれば、エレベーターの有無も作業時間に大きく影響します。
近くにトラックを止めておけるかどうかでも、作業性は大きく変わります。

〇〇一式とされている項目があれば、その一式には何が含まれているのか確認が必要です。
確認せず作業に入り、「これは料金に含まれていません。追加料金になりますけどどうしますか?」と言われても、自分達で出来ない作業なら頼まざるをえませんよね。
ヘタすると高額な追加料金になってしまう可能性もあります。
悪徳な業者であれば、契約を取るために見積書ではあえて安く記載し、後から高額な追加料金を請求してくる場合もありますので、見積書は内容に不明点や未定な点がないか確認するようにしましょう。
もし不明な点があれば、納得するまで説明を求めたり、場合によっては明細を出し直してもらうことも必要です。
優良な遺品整理業者の選び方のポイント一つ目は、見積書が明瞭で不明点がないか、という事になります。
優良な遺品整理業者の選び方②追加料金やキャンセル料

次に確認したいポイントは、追加料金やキャンセル料についての取り決めです。
遺品整理業者さんによっては、「追加料金は一切いただきません」としている業者さんもあります。
その業者さんは、見積もり時点で見落としていた項目は業者側の過失であるため、お客様に費用をいただくことはしないという姿勢です。
しかし、そんな業者さんばかりではありません。
また、本当に業者さんはもちろん、依頼者であるあなた自身も想定できなかった追加の作業が発生する場合もあります。
そのため、追加料金がかかる場合があるのは仕方ないと思ってください。
ただし、事前に追加料金に対する説明や、金額の目安などルールについて案内があるか無いかは大事なポイントです。
キャンセル料についても同様です。
「当日キャンセル以外はキャンセル料はかかりません」としている業者さんもありますが、〇日前は〇%、〇日前は〇%と決まっている場合も多くあります。
中には前払いや手付金が必要な業者さんもありますので、キャンセルした場合のキャンセル料や、先払いした料金の返金についてもシッカリ確認するようにしてください。
総務省でまとめた遺品整理に関するトラブルでも、前払い金の返金がされないといったトラブルも報告されています。
優良な遺品整理業者の選び方③見た目や言動

3つ目のポイントは、見た目の清潔感があるか?という点です。
簡単に言えば「ちゃんとしているか」ということです。
また、説明や電話の受け答え、メールの返事などに不安を感じることがないか?という所も注意したいポイントです。
遺品整理業者さんは、基本的には肉体労働ですし、綺麗な服装で行う作業ではありません。
とは言え、見積もりや初回の打合せ時点で、汚れた服装やだらしない恰好で良いわけではありません。
どんな業種でも共通することだと思いますが、身なりを整えておくことは良い仕事の大前提だと思います。
もちろん、業種を考えればスーツである必要はありません。
作業着やポロシャツといった業者さんもあると思いますが、大事なのは「清潔感」があるかないかです。
見積もりやキャンセル料などのルールがシッカリしていていれば、あとはそうした見た目の部分も業者さん選びの際の参考にすると良いでしょう。
遺品整理の費用についての記事はこちら>遺品整理 費用
失敗しない遺品整理業者の具体的な選び方

業者さん選びのポイントをご理解頂いた所で、実際に遺品整理業者さんに依頼する際の、具体的な選び方について解説していきます。
具体的な遺品整理業者さんの選び方とは、ずばり、相見積もりを複数社に依頼するということです。
業者さん選びのポイントは大切ですが、最も大切なのはやはり料金ですよね。
いくら明瞭で優良な業者さんであったとしてしても、料金が高ければ意味がありません。
しかし、遺品整理というのは一軒一軒条件が異なりますので、適正な料金というのがあってないような物です。
例えば次のような例でイメージしていただければ分かりやすのではないでしょうか?
見積もりしていただく家は、あなたのお母さんの家です。
A社の見積もりは20万円。
B社の見積もりは50万円。
もし、このような見積もりになった場合、心配になりませんか?
安いといって20万円のA社に依頼するのはちょっと心配ですよね。
なんでそんなに安いの?
もしかしたらB社には含まれているサービスが含まれていないのでは?
A社は仕事がものすごく雑なのかしら?
そんな心配をすると思います。
逆のパターンですがB社についても同様です。
なんでこんなに高いの?高いなりの理由があるの?
高いだけサービスの内容が充実していて丁寧な仕事なのかしら?
追加料金やサービス内容は確認できたとしても、なにせあなたに経験が少ないので、本当にその内容で大丈夫なのか完璧な自信は持てないと思います。

そこで大事なのが、3社以上の見積もりをもらうということです。
3社目の見積もりがあれば、適切な金額がどちらに近いのか判断しやすくなります。
もちろん、もっと多くの見積もりがあればより正確な判断が可能になります。
このようなことから、必ず3社以上の業者さんに相見積もりをお願いするようにしましょう。

複数の業者なんて知らないし、手間が大変!
断りを入れるのが性格的にできない!
大丈夫です!
複数の遺品整理業者さんに一括見積もりできるサービスがありますので、そうしたサービスを利用するようにしましょう。
このサービスを使えば、あなたが複数の業者に連絡をする必要もありませんし、依頼しない業者さんにあなたの個人情報が漏れる心配もありません。
母の遺品整理が進まない方へ。失敗しない納得の整理方法のまとめ
この記事では、母の遺品整理が進まない方に向けて次のことを解説してきました。
簡単にまとめます。
・母の遺品整理にあたり気持ちの切り替え方
母の遺品整理は、兄弟や親戚、知人にアドバイスをもらって進めると良いこと。
・遺品整理のコツと手順
遺品整理のコツは、まず計画をしっかり立てることと、下調べをすることです。
いつまでに遺品整理を完了させるのか、費用や労力の負担はどうするのか、不用品の処分方法、遺品の買取や業者さんの下調べなど。
・遺品整理業者選びのポイントと具体的な方法
業者さん選びのポイントは、①見積もりが適切で明瞭か。②追加料金やキャンセル料について納得できるルールであるか。③見た目の清潔感や誠実さは感じられるか。
そして最後に、遺品整理を業者さんに依頼する時は、必ず複数の業者さんに相見積もりを依頼することが必須だということです。