実家の仏壇の処分にお困りの方はとても多いです。
実家の両親が亡くなり、空き家となる家に残された仏壇。
遺品整理とともに処分に困りますよね。
そのまま捨てるわけにはいきませんし、かといってあなたの家に引き取ることも難しいでしよう。
仏壇の処分方法について結論は、業者さんに引き取ってもらうことが一番楽で安心です。
極端なことを言えば、そのまま粗大ごみでも問題はありません。自分達で処分することも十分可能です。
また、実家の仏壇を処分するのはいいけど、仏壇が無くなったあとはどうすれば良いのか?
そんな所も気になると思います。
この記事では、実家の仏壇の処分方法について、適切な流れや費用などについて詳しく解説していきます。
この記事でわかること
・実家の仏壇を処分する手順と方法
・仏壇の処分費用
・仏壇が無くなったあとはどうすれば良いのか
実家の仏壇を処分したいけど…、そもそも仏壇ってなに?

実家の仏壇を処分したいとお考えだと思いますが、仏壇の処分について解説する前に、そもそも仏壇とは何かについてご説明します。
仏壇とは、仏様を祀る場所です。
もう少し分かりやすく言えば、仏様のお家ですね。
もともとはお寺の本堂を真似た作りの物が一般的でしたが、近年は非常にシンプルでモダンなデザインのものも多くあります。
ちなみに仏様とは二つの意味があり、一つは仏像など本尊のことです。
もう一つはご先祖様のことです。
ご先祖様は、仏教の考え方では亡くなって49日経つと成仏し、仏になります。
※厳密に言えば宗派によって考え方が違いますし、成仏できる期間もことなります。
仏様を祀る檀なので、仏壇なのです。
このほかにも、仏様の世界とこの世を結ぶ場所などとも言われますが、具体的な意味はなく、迷信やこじつけに近いものとも言えます。
一般的な解釈としては、亡くなった方の位牌を収め、お参りするための対象物と表現することが一番分かりやすいでしょう。
いずれにしても、仏教の考え方にそったものですので、キリスト教や神道を信仰する方は必要ない物です。
仏壇の種類とは

仏壇には種類がいくつかあります。
皆さんが一番イメージしやすい仏壇としては、金仏壇と唐木仏壇があります。
細かいことを言えば金仏壇にも種類があるのですが、主に金仏壇は真宗(本願寺)系で使用され、唐木仏壇はその他の宗派で使用されます。

ただ、中に収める本尊さえ宗派に合った正しい物をおさめれば箱(仏壇)は何でも良いともされますので、地域や家によって必ずしも真宗(本願寺)系だけが金仏壇とは限らないようです。
また、最近はこうした昔ながらのデザインの仏壇は好まれず、モダン仏壇や家具調仏壇と呼ばれるタイプや、上置き仏壇と呼ばれるサイドボードや棚の上に設置する小型のタイプが主流となっています。


このように色々なタイプの仏壇がありますが、その用途は基本的にどれも同じで、タイプの違いで処分方法などが違うということはありません。
ちなみに、タイプによっては売ることができる仏壇もあります。
売れる仏壇について詳しくは後ほど解説します。
仏壇って処分していいの?たたられたり悪いことは起きない?

断言しますが、仏壇は処分しても全く問題ありません。
仏壇とは、言ってしまえばただの箱です。
仏教として大事なのは、あくまで中に収める本尊であり、位牌なのです。
ただ、日本には古来から「古い物には魂(神様)が宿る」と考えられてきました。
その感覚から言えば、仏壇にもそうした想いが込められるということは理解できると思います。
特に、長いあいだ家族が大事にお参りしてきた対象ですからね。
とは言え、あくまで気持ちの問題ですから心配する必要はありません。
もちろん、そうは言っても気になる人も多いと思いますし、お坊さんなどは「ちゃんと魂抜きをしないとダメ」と言われると思います。
そこで、次の項目では実家の仏壇を処分するための、一般的な手順をご紹介します。
実家の仏壇を処分する3つの手順を解説

実家の仏壇を処分するにあたり、その手順を解説したいと思います。
ただし、ここでご紹介する手順はあくまで一般的な仏教の手順です。
もしあなたが仏教を信仰する信者でなければ、あまり気にする必要はないとも言えます。
特にご紹介する手順の②は飛ばしていただいても構いません。
仏壇を処分する手順その①家族や親戚に報告する。

家族や親戚に報告して、仏壇を処分することに同意をもらいましょう。
もちろん、あなたのご家族は問題なく賛成してくれると思いますが、実家の仏壇が先祖代々守られてきた仏壇だとした場合、叔父さんや叔母さんなどの親戚の方にとっても大切なものと考えられます。
特にあなたの父方の親戚で、お付き合いが深い方に対しては連絡をされると良いと思います。
また、あなたに兄弟がいらっしゃれば、そのご兄弟にも連絡して賛同をもらうようにしましょう。
注意しなければいけないのは、特に叔父さんや叔母さんといった方の中には、古い考えの方も多く
「先祖代々の仏壇を処分するなんてとんでもない!」
なんて反対される方もいらっしゃいます。
そんなふうに言われる叔父さんや叔母さんの気持ちも分からなくもないですが、正直、有難迷惑な話ですよね。
ちょっと意地悪なアドバイスかもしれませんが、もし、どうしても反対される方がいらっしゃれば、その方に引き取っていただけるか確認すると良いと思います。
仏壇を処分する手順その②性根抜き(魂抜き)をしてもらう

お付き合いのある寺院やお坊さんがあれば、仏壇を処分する前に性根抜きをしてもらいます。
地域によって呼び方が色々ありますが、おしょうねぬき、おしょうぬき、しょうぬき、たましいぬき、または閉眼供養などと呼ばれます。
具体的に何をするかと言いますと、仏壇に向かってお経をあげ、本尊の魂を抜く行事です。
ある意味、仏壇を処分するために最重要なイベントと言えるでしょう。
なぜなら、これをしなくても納得できる方は、そもそも仏壇の処分で困ることがないからです。
気持ちよく仏壇を処分するための儀式でもありますから、お坊さんへのお布施は必要ですが、ぜひ行うことをオススメします。

ちなみに、お仏壇の性根抜きの際にお渡しするお布施は、10,000円~50,000円くらいが相場とされます。
地域性や、あなたとお坊さんのお付き合いの度合い、あなたの家の格によって異なります。
一般的に多いのは、30,000円です。
仏壇を処分する手順その③
お性根抜き(閉眼供養)が終わりましたら、仏壇はどのように処分しても構いません。
自治体のルールに従って、粗大ごみなどいわゆる家具と同様に処分が可能です。
とは言え、今まで大事にしてきた仏壇を粗大ごみに出すのは抵抗がある方も多く、おすすめの方法は業者さんに引き取ってもらうことです。
なお、仏壇を処分する時に少し注意点がありますのでご紹介しておきます。
仏壇を処分する前の注意点
仏壇を処分する前にすることは、中身の確認です。
仏壇の中身とは、檀の中に収められていた仏具だけでありません。
引き出しの中もしっかり確認するようにしましょう。
ご年配の方ですと、仏壇の中に大切な物をしまっている方も多くいらっしゃいます。
数珠、御朱印帳などは一般的ですが、中には現金(へそくり)、宝飾品、権利書など重要書類、宝くじなどが入っていることも。
また、埋葬許可証を仏壇に入れている方も多いので、もしあれば保管しておきましょう。
墓じまいなどお墓の引っ越しの時に必要になります。
仏壇の処分費用について。無料の場合もあります。

実家の仏壇を処分する手順が分ったところで、次は費用の解説をいたします。
まず、仏壇の処分をしてくれるところは次の通りです。
- 仏壇店
- 不用品回収業者
- 仏壇専門回収業者
- 自治体の粗大ごみ回収
- 葬儀屋さん
- 遺品整理業者
順番に費用感やポイントを解説します。
仏壇店に仏壇の処分を依頼する場合
たいていの仏壇店では、仏壇の処分も引き受けてくれます。
仏壇のサイズなどによって異なりますが、費用の相場としては、1万円~5万円くらいが多いでしょう。
一般的によくあるサイズの仏壇の場合は、だいたい2~3万円くらいと言われます。
なお、仏壇店は本来は新しい仏壇を販売している所ですから、実家の仏壇は処分するけど、新しい仏壇を購入する場合、古い仏壇は無料で引き取ってもらえることもあります。
ただし、あくまでサービスでできる範囲のサイズになりますし、新しい仏壇が小型で安価な仏壇の場合は、無料引き取りが出来ない場合もあるでしょう。
仏壇も値引きが可能です。
もし新しい仏壇を購入するのであれば、値引き交渉とともに、古い仏壇を無料で引き取ってもらえないか交渉してみると良いと思います。
不用品回収業者さんに仏壇の処分を依頼する場合
処分する実家の仏壇サイズによりますが、5,000円~1万円くらいが多いようです。
比較的安価にお願いできると言えますね。
仏壇専門回収業者さんに仏壇の処分を依頼する場合
インターネットなどで簡単に検索できますが、仏壇専門の回収業者さんがあります。
費用の相場としては、2万円~5万円くらいとなっています。
業者さんによっては、ちゃんと回収に来てくれる業者さんもありますが、運送会社に回収作業を丸投げしている所もあり、サービスの質は様々なようです。
自治体の粗大ごみ回収に仏壇の処分を依頼する場合
自治体によってルールが異なりますので、仏壇は回収できない所や、自分で解体しなければいけない所もあります。
ただし、条件が良ければ一番費用を安くする事が可能で、500円~2000円程で済むケースが多いと思います。
葬儀屋さんに仏壇の処分を依頼する場合
ときどき地域の葬儀屋さんでも仏壇処分をしてくれるところがあります。
金額は無料~1万円くらいと幅があります。
基本的に葬儀をしてくれたお客さんに対するオマケ的なサービスですから、すべての葬儀社が対応してくれる訳ではありません。
また、葬儀社も仏壇部門を持っている会社があります。
そうした会社であれば、新しい仏壇を購入するなどの条件付きで、無料で古い仏壇を引き取ってくれることもあります。
遺品整理業者さんに仏壇の処分を依頼する場合
遺品整理を業者さんに依頼した場合は、供養がなければ仏壇もその他の処分品と一緒に処分してくれます。
もし実家の遺品整理を業者さんに依頼するのであれば、仏壇も一緒に処分してもらうように見積もり時にお伝えしましょう。
実家の片付け全般についての記事はこちら>実家 片付け
仏壇は買い取ってもらえるの?

仏壇も物によっては買取をしてもらえます。
仏壇を買い取ってもらえるところは次の通りです。
・リサイクルショップ
リサイクルショップでも仏壇を買い取ってもらえる所があります。
ただし、全てのお店が仏壇の買取に対応しているわけではありませんので、事前に電話などで買取可能か確認してから持ち込むと良いでしょう。
買取をしてもらえるお店の場合は、どんなタイプの仏壇でも査定対象となります。
・仏壇の買取業者
仏壇の買取専門の業者さんもありますが、仏壇回収業者さんが買取サービスも行っている場合があります。
ただし、あまり大きな金額にはならないことがほとんどですから、処分費の一部になる、といった感じでしょうか。
また、買取をしてもらえる仏壇のほとんどは金仏壇です。
金仏壇以外の仏壇は基本的に値段は付かないことが多いようです。
買取価格は、仏壇のサイズやグレードによりますが、3000円~10000円くらいと、あまり大きな金額にはなりません。
仏壇がなくなった後の位牌はどうすれば良いの?

仏壇の中に入っていたお位牌。
先に一番良い方法をお伝えしておきますと、仏壇と一緒に処分してもらうことが一番良いと思います。
しかし、位牌は仏壇本体や仏具と違って、亡くなった方の戒名が彫られている場合が多いので、その本人のような気がして捨てられない方もいらっしゃいます。
そんな場合は、次の中であなたが一番納得できる方法を選んでください。
- ①仏壇と一緒に処分してもらう
- ②位牌だけは残して供養を続けていく
- ③複数本ある位牌を、一本にまとめて供養を続ける
それぞれ解説します。
①仏壇と一緒に処分してもらう
将来的なことを考えれば、実家の仏壇を処分するのであれば一緒に位牌も処分することをオススメします。
位牌は名前が彫ってあるので、処分するのは気が引けます。
しかし、ちゃんと性根抜きをしたあとならば処分するのは問題ありません。
先祖の位牌を残す場合、あなたはよくても、あなたの次の世代で困るのではないでしょうか?
これは位牌に限らずお墓も同じことが言えますが、昔のように子どもや孫が先祖代々の家や墓を守っていくという時代ではありません。
ちょっと寂しい気持ちも、なんだかご先祖様に申し訳ない気持ちも分かりますが、この機に処分することが一番良い方法だと思います。
②位牌だけは残して供養を続けていく
どうしても処分するのは気が引ける、という方は、位牌だけ残してもらうことも良いと思います。
その場合は、自分の自宅に持ち帰り、どこか祀る場所を用意しましょう。
新しい仏壇を購入するのも良いですし、かならず仏壇の中でなければいけないこともありませんので、どこか棚の中でも大丈夫です。
ただし、位牌はそれ自身をご先祖様に見立てるから意味があるわけです。
そのため、ぞんざいに扱うことにならないような場所に設置するよう、注意しましょう。
③複数本ある位牌を、一本にまとめて供養を続ける
ご先祖の位牌は、複数本ある場合も多いと思います。
また、昔の仏壇は比較的大きなサイズが多かったため、その中に収める位牌も大きい物が多くあります。
もし新しい仏壇を購入したり、別の場所で位牌を祀るのであれば、
先祖代々之霊位として1本の位牌にまとめることも良いと思います。
仏壇がなくなった後、仏像・本尊はどうすれば良いの?

仏壇の処分をすると、基本的に仏壇の中にあった仏具なども一緒に処分します。
この時に仏像・本尊はどうすれば良いのか悩む方もいると思います。
※本尊は、仏像の場合もありますが紙にかかれた絵や文字の場合もあります。
基本的に仏像・本尊は仏壇と一緒に処分してください。
ただし、仏像については年代やサイズ、そして彫刻や装飾の具合によっては美術品としての価値が付く場合があります。
専門の買取業者さんもいますので、一度問い合わせてみるのも良いと思います。
仏壇に代わるものは何がある?

ここまで、実家の仏壇の処分について解説してきましたが…
実家の仏壇がなくなって、これからどうしたら良いのか?と心配になる方もいらっしゃいます。
私の個人的な意見としては、次の世代に負担になることを考えれば、仏壇はもうナシでいいんじゃないかと思っています。
しかしどうしても気にる方や、やはり仏壇があった方が良いという方は、新しく仏壇を購入されると良いと思います。
ただし、今はモダンでオシャレで、かつ非常にコンパクトな物がたくさんありますので、そうした仏壇を選ぶと良いでしょう。
あまりにもオシャレなので「本当に仏壇?」と思ってしまうほどの物がたくさんあります。
また、今までのように仏像や本尊、そして位牌などを主にするのではなく、写真をメインにした場所を取らない供養棚もあります。
そうした物であれば、違和感なく現代の家にも置いておけますし、マンションなどスペースが限られた場所でも困ることがありません。
実家の仏壇の処分方法についてのまとめ
この記事では実家の仏壇の処分方法について解説してきました。
まとめますと、実家の仏壇を処分する手順は次の通りです。
- ①家族親戚に同意を得る
- ②性根抜き(閉眼)供養をしてもらう
- ③処分する
仏壇を処分する方法としては、仏壇店や不用品回収業者、仏壇専門の回収業者などがあり、費用は1~5万円ほどです。
また、仏壇がなくなったあとは、新しい仏壇を購入しなくても良いと思いますが、もし代わりとなる物を用意されるのであれば、現代風のモダンでお洒落なコンパクトタイプや、写真をメインにしたタイプもあることをご紹介しました。