葬儀や遺品整理が終わり、遺骨をどうすると良いか悩む方は少なくありません。
今まで遺骨は、お墓に埋葬することが一般的でした。
しかし近年、お墓の後継者問題や、墓地を持つということにこだわらない方が増え、新しい選択肢として自宅にそのまま置いておく、手元供養という方法をとる方が多くなっているようです。
法律上、遺骨を自宅に安置しておくことは全く問題ではありません。
もちろん、遺品整理と同様に、「いつかはどうにかしなくてはいけない」という問題はありますが、大切な方を身近に感じることで安心感を得たり、離れた場所のお墓と違って、毎日手を合わせられるというメリットもあります。
この記事では、そんな手元供養をする時の仏壇やおりん、そして骨壺の選び方について解説しています。
この記事でわかること
・手元供養をする時の仏壇の種類と選び方
・手元供養をする時のおりんの種類と選び方
・手元供養をする時の骨壺の種類と選び方
・手元供養をする時のキーホルダーの種類と選び方
遺骨の処分にお困り方向けの記事はこちら>遺骨 処分
1.遺骨を手元供養する場合の仏壇の種類と選び方

近年では、お墓の後継者不足などの問題から、遺骨をお墓に入れず自宅で保管する手元供養を選択する人も増えています。
多くの場合は仏壇に遺骨を置きますが、従来型の仏壇ではなく故人に似合うものを選びたい方もいるでしょう。
そもそも家に仏壇がなく、新たに購入しなければならないこともあるはずです。
ここでは、手元供養に合った仏壇の選び方を紹介します。
遺骨の手元供養ならミニ仏壇が使いやすい
手元供養とはいっても、遺骨をすべて保管しておくケースはあまり見られません。
大抵は遺骨の一部のみを残しておくので、骨壷もサイズの小さいミニ骨壷がよく使われます。
そのため、仏壇も骨壷に合わせてミニ仏壇を採用するケースが多いのです。
ミニ仏壇は、文字通り仏壇を小型化したもので、小さな箱程度の大きさしかないものもあります。
もともと現在の仏壇は、マンションの部屋などにも置きやすい小型モデルの人気が高く、ミニ仏壇はその最たるものです。
価格も安ければ2万円~3万円程度なので、お金を節約したい場合にも向いているでしょう。
また、大きさだけでなくデザインもさまざまで、仏教的な要素をまったく感じさせないものも少なくありません。
この場合は、仏壇というよりも祭壇と呼んだ方が適切でしょう。
「ステージ」や「飾り台」という名称で販売されていることもあります。
特定の宗教を信仰していない方でも、故人の家・お墓として使いやすいのでおすすめです。
ミニ仏壇のデザインは多種多様

ミニ仏壇は、従来の仏壇のイメージにとらわれることなく作成されているため、実にさまざまなデザインが存在します。
特によく見られるのは、以下の2つのタイプです。
家具型
木材を用いて家具のように仕立てているタイプです。
扉を閉めておけば、小物入れか何かだと思われるでしょう。
洋室・和室を問わず自然に溶け込んでくれるのが人気の理由で、使用する木材によっては高級感も出せます。
内部は従来型の仏壇のように作ってある場合もありますが、宗教要素の薄いものも多く、使いどころを選びません。
飾り台型(ステージ型)
箱ではなく、板状の台に骨壷や香炉などを乗せるタイプです。
木製の他、金属製のものも普及しています。
家具型以上に宗教的な要素が薄く、現代的なインテリアとしても十分通用するのが特長です。
小物を組み合わせやすいのも魅力なので、故人の写真や大切にしていたアイテムなどを配してみるといいでしょう。
最近の仏壇は従来のものに比べておしゃれなものも増えているので、いろいろ見比べてみるのがおすすめです。
部屋や小物との相性も大切
ミニ仏壇は、従来型の仏壇に比べてスペースを取らないため、どのような場所にも置けるのが魅力です。
また、小物などもしきたりにとらわれずに配することができるでしょう。
しかし、どこにでも置けてしまうがゆえに注意すべき点もあります。
部屋との相性
ミニ仏壇は、従来のデザインにこだわらない新たな発想で作られていますが、手を合わせる対象としての格式は保っています。
そのため部屋の雰囲気によっては、浮いた存在になってしまうこともあるでしょう。
購入する前に、部屋の壁紙やインテリアとの相性を確認してみてください。洋室に置くことを前提としたミニ仏壇もあります。
小物との相性
ミニ骨壷を始め、手元供養に向いている小物は続々と登場しています。
これらもミニ仏壇同様、従来のイメージにとらわれず作成されているため、一見してそれとわからないものも少なくありません。
とてもかわいらしいものや、かなり特徴的なデザインのものもありますから、仏壇との相性をしっかり確認しましょう。
手元供養する場合の仏壇の種類と選び方のまとめ
手元供養は、お墓が見つかるまでの一時的な対処法として行われる場合もありますが、「ずっと遺骨を手元に置いておきたい」と考える方も少なくありません。
そのような方にとって、ミニ仏壇はぜひとも用意しておきたいものです。
お部屋に似合うデザインの仏壇がきっとあるはずですから、専門店や通販サイトで探してみるといいでしょう。
2.遺骨を手元供養する場合のおりんの種類と選び方

チーンと音を鳴らす「おりん」は、香炉・燭台・花立の「三具足」と並んで、とても身近な仏具の1つです。
推奨される形状や大きさは宗派によって異なりますが、近年では手元供養を選択する人が増加した結果、それに向いた新しいおりんも登場しています。
ここでは、手元供養にふさわしいおりんの特徴を見ていきましょう。
おりんは読経の合図や調子を取るために使う
りん(鈴)は、もともと禅宗で使われていたとされる仏具です。
現在ではほとんどの宗派で使われており、宗派ごとに鳴らすタイミングや回数の違いはあるものの、主に以下のような目的で使用されます。
- 読経の開始の合図や、読経の調子を整える
- 音色とともに祈りを極楽浄土に届ける
- 清浄な音によって邪気を払う
一般的なおりんはお椀型をしており、セットとなる「鈴棒」で打って音を鳴らします。
本来は読経の際に鳴らすものなので、自宅の仏壇に手を合わせる時など、読経を行わない時は鳴らす必要はありません。
とはいえ、仏壇や仏像の前でおりんを鳴らす行為はすっかり定着しており、多くの方が清らかな音色を聞いているでしょう。
手元供養には「モダンおりん」がおすすめ
おりんは、仏具の中では比較的形状の自由度が高いものです。
浄土真宗の一部の宗派では、おりんを置くための「鈴台(りんだい)」の形状を定めていますが、おりんそのものには特に決まりはありません。
従来型のおりんでも、いろいろなデザインのものが発売されているので、法要などで他の家を訪れた時、自宅のものと雰囲気の違うおりんを見かけることもあるでしょう。
そのため、宗教と切り離して行われることも多い手元供養においては、おりんの選択肢はさらに広がります。
たとえば、従来のおりんの色は金・銀・黒などが一般的でした。
しかし、手元供養向けのおりんでは、赤・青・緑・ピンクといったカラーのものも発売されているのです。これだけでも、供養の雰囲気を大きく変えることは間違いありません。
さらには、お椀型ではなく球状のおりんや、洋風のベルのようなおりんもあります。
もちろん、おりんとしての機能は損なわれていないため、鳴り響くのは聞き慣れたあの音です。
このような「モダンおりん」は、他のモダン仏具と組み合わせることで真価を発揮します。
お部屋のインテリアにもなりますから、ミニ骨壷やミニ仏壇、飾り台(ステージ)などとの組み合わせを試してみましょう。
無宗教でおりんを使ってもいい?
前述した通り、おりんは仏教で用いられる道具です。
つまり、仏教と切り離して行われることも多い手元供養では、そもそもおりんが必要ないと考えることもできます。
しかし、祈りを捧げるための合図として、本来のあり方と無関係におりんを愛用している方が多いのも確かです。
また、おりんの親戚ともいえるチベタンボウル(シンギングボウル)は、音色にヒーリング効果があるとして人気を集めています。
あの清浄な音を聞いて
「邪気を払ってくれそう」
「お祈りに集中できそう」
と考える方も少なくないでしょう。
祈りを捧げるための役に立つと思うなら、無宗教型の手元供養でもおりんを用いて一向に構いません。
ただし、どれだけかわいらしいモダンおりんであっても、楽器ではなく仏具であるということは忘れないでください。
子供のころ、おりんを叩き鳴らして怒られた経験のある方もいるはずです。お祈りのサポートとして、手を合わせる前やここぞという場面でのみ鳴らしましょう。
手元供養する場合のおりんの種類と選び方のまとめ
おりんの音色に耳を澄ませると、頭の中にあった邪念や雑音は自然と払われ、お祈りに集中できるものです。
日本人にとってのおりんは、非常に馴染み深いものになっているといえるでしょう。
飾り台などを使って手元供養を行う場合でも、おりんがあればきっと役に立つはずです。
従来のあり方にとらわれることなく、素敵なモダンおりんを探してみてください。
3.遺骨を手元供養する場合の骨壺の種類と選び方

故人を荼毘に付した後は、遺骨の行き先を決める必要があります。
従来はお墓に納骨するのが一般的でしたが、近年ではお墓の後継者不足などの理由により、遺骨を家に保管する「手元供養」を選択するケースも見られるようになりました。
せっかくですから、ぜひ骨壷にもこだわりたいものです。
ここでは、手元供養に適した骨壷の選び方を紹介します。
遺骨の手元供養にはミニ骨壷がおすすめ
従来の骨壷といえば、シンプルなデザインの陶器製のものが一般的でした。
しかし近年では、埋葬形態を自分で決めるという考え方が広まるにつれ、デザイン性の高い骨壷も登場しています。
特に手元供養の場合、骨壷を常に自宅に置いておく関係上、インテリアとしても通用するようなデザインの骨壷が求められるようになったのです。
また、遺骨の一部だけを手元供養に回すことも多いため、小型の骨壷の需要が高まり、これらは「ミニ骨壷」などとも呼ばれます。
小さくてかわいらしく、とても骨壷には見えないようなものもあるので、安置する部屋の雰囲気に合ったものを選ぶといいでしょう。
中には、骨壷自体が写真立てになっているものもあり、故人の写真とセットで飾ることができます。
素材も豊富で、主なものは金属製・木製・陶器製などです。
金属製は耐久力と美しい光沢が、木製は温かみのあるデザインが、陶器製は滑らかな手触りと艶やかさが魅力といえます。
光を透過するのに遺骨が見えないように作られた、涼やかなガラス製の骨壷も登場していますから、ぜひ手に取ってみてください。
密閉性の高い骨壷でカビを防ごう
手元供養の骨壷選びで最も注意しなければならないのは、密閉性が高いものを選ぶということです。
火葬直後の乾燥した状態からは想像しにくいかもしれませんが、湿気の多い環境で保管しておくと、遺骨にカビが生えてしまうことも珍しくありません。
そのため、極力水分や酸素から遠ざけてあげる必要があるのです。具体的には、蓋と本体の間に隙間がないものや、ネジなどによって蓋をしっかりと固定できるものが望ましいでしょう。
また、木製の骨壷であれば、調湿機能(木が湿気を吸収したり放出したりすること)によってカビを抑制することもできます。
どうしても密閉率の低い骨壷を使いたい場合は、乾燥剤と一緒に入れておくという方法もあるのですが、あまり気が進まない方も多いでしょう。
そんな時は、遺骨を真空パックにしてしまうのがおすすめです。少しでも隙間を減らせるよう、業者に依頼して遺骨を粉骨してから行うのが望ましいといえます。

お気に入りの瓶や箱を骨壷にしてもよい
手元供養での骨壷は、あえて骨壷として販売されているものを使わず、お気に入りのアイテムを代わりに使用するという方法もあります。
市販の骨壷のデザインが多様化していることからもわかるように、骨壷には「こうでなければならない」という決まりはありません。
そのため、遺骨を守るという役目を果たせるなら、何を使用しても構わないのです。
具体的には、お気に入りの缶や瓶、壷や木箱などが挙げられます。
故人が大切にしていたものを使えば、きっと故人も喜んでくれるでしょう。
もちろん、遺族が気にいるデザインのものを選んでも構いません。
毎日手を合わせているうちに愛着がわき、故人を弔う気持ちも一層強くなるはずです。
ただし、カビを防ぐために密閉性の高いものを選ぶという点は、市販の骨壷を使う場合と変わりません。
また、もともと骨壷用に作られているわけではないだけに、親族などから「これはいかがなものか」と言われてしまう可能性もあるでしょう。
デザインや思い入れだけではなく、骨壷として役立つかどうかをしっかりと検討し、周囲にも説明してください。
手元供養する場合の骨壺の種類と選び方のまとめ
手元供養のための骨壷を選ぶ時は、お墓に入れるための骨壷とは少し考え方を変える必要があります。
遺骨を湿気などから守りつつ、大切な人のお墓の代わりになるものですから、機能とデザインにも十分にこだわるべきでしょう。
最適な骨壷を選んで、家族みんなで毎日手を合わせてあげてください。
4.遺骨を手元供養する場合のキーホルダーの種類と選び方

亡くなってしまった大切な方といつでも側にいたいという想いは多くの方が持つ心情です。
この想いを叶える供養スタイルが手元供養と呼ばれるものですが、手元供養にも様々なカタチがあります。
そのなかで故人をいつも側に感じていられるアイテムとしてキーホルダータイプに関心を持たれる方もいらっしゃいます。
そこで今回はキーホルダーの手元供養についてお伝えしていまいります。
遺骨の手元供養とは?
手元供養とは遺骨の全部または一部を自宅に安置したり、アクセサリーなどとして身に着けたりしておく供養スタイルのことです。
手元供養が選ばれるケースとしては主に、墓地に納骨するための費用が無いために遺骨全部を手元供養としておくという場合と、故人を身近に感じていたいという願いを叶えるために手元供養を行う場合とがあります。
アクセサリータイプやキーホルダータイプでは遺骨の一部のみにしか対応出来ないこともありますが、これらを選択される方は予算的問題ではなく、故人を身近に感じていたいという願いに基づいた手元供養の利用動機と考えることが自然です。
キーホルダータイプの種類
キーホルダータイプは、仕事柄アクセサリーを身に着けておくことが出来ないけれど、なるべく身近に感じられる手元供養を望む方が興味を持つことが多いようです。
ただし手元供養のアクセサリータイプは、現在のところさほど多くの種類があるわけではありません。
最も多く流通しているのはカプセルタイプのキーホルダーで、カプセル部分に遺骨の一部が収納できるようになっているものです。
材質としてはステンレス製が多く、真鍮製のものも若干見られます。
形状はカプセルタイプですが、カプセル本体に装飾が施されているものもあります。
その他割合としてはごく少数ですがハート形や、ミニ念珠が付属しているものなども流通しています。
キーホルダータイプの値段
値段として2千円~3千円程度が相場です。
ネックレスなどのアクセサリータイプでは1万円~3万円が相場なので、比較するとキーホルダータイプの方が安価で、手に入れやすい値段のものが多いと言えるようです。
キーホルダータイプの選び方
特に宗教宗派で制限されることもありませんし、基本的にはデザイン、大きさ、色合い、値段など個々人の好みで選択していただければ問題ありません。
選ぶ際の注意点としては、キーホルダーですから、おそらくバッグや鍵に付けることになると思われますが、金具が壊れて紛失してしまうことのないよう金具部分の頑丈なものを選ぶことが重要です。
遺骨ですから、通常の身の回り品を紛失してしまうのとは比べ物にならないほどの精神的ダメージが残ることが考えられます。
金具部分の強度には特に注意していただきたいところです。
キーホルダータイプと同類の手元供養品
ご参考までにキーホルダータイプと同類の手元供養品にはどのようなものがあるのかをご紹介いたします。
キーホルダーと同じように外出時も身近に備えることができるものとしてアクセサリータイプがあります。
アクセサリータイプはキーホルダータイプと比べるとデザインも多種多様で、流通量も豊富です。アクセサリータイプにはネックレス、指輪、ブレスレット、アンクレットなどがあり、キーホルダータイプと同様に遺骨の一部が収納できるようになっています。
また、アクセサリーの部類として、遺骨をダイヤモンドに加工するタイプの手元供養品もあります。

手元供養を行うための分骨について
キーホルダーとして手元供養を行う為には分骨が必要です。
分骨とは遺骨の一部を取り分けることです。分骨は火葬場で火葬が終わった時点で行う場合と、既にお墓に納骨されている状態から行う場合とがあります。
火葬が終わった時点で行う場合には、事前に葬儀社に依頼をしておけば、分骨用の小さな骨壺の用意から火葬場への分骨申請まで全て対応していただけます。
お墓に納骨された状態から分骨を行う場合には、お墓によって対応方法が異なりますので、まずは墓地の管理者に分骨を行いたい旨を伝え、指示を仰ぎます。
いずれの場合でも分骨を行う際には、火葬場または墓地の管理者から「分骨証明書」を発行してもらいます。
これは後々分骨した遺骨をお墓に納めることになったときに必要となる書類です。
手元供養をする時のキーホルダーの種類と選び方のまとめ
今回はキーホルダーの手元供養についてお伝えしていまいりました。
キーホルダータイプは、普段アクセサリーを身に着けない主義の方にも利用しやすい手元供養品です。また値段的にも入手しやすいというメリットもあります。
ただし、やはり紛失には充分な注意をしていただきたいところです。
手元供養でキーホルダータイプを検討される際には、今回の内容を是非参考にしてみてください。