大切な家族の死後、何から手を付けていけば良いのか分からない方も多いと思います。
あなたもきっとそんな1人ではないでしょうか。
葬儀が終わって、役所関係の手続きが済むと、今度は部屋の片付けを進めなければいけません。
故人の物は全て遺品と呼ばれ、相続した人が整理や処分などをしなければいけないのです。
自分自身の生活もある中、家族とはいえ別の住居の片付け作業は、かなりの労力と時間を必要とします。
遺品整理業者さんに依頼するという手段もありますが、自分達でできることもあると思います。
まずはこの記事を最後まで読んで頂き、どうしても自分達では無理そうだと思ったら、遺品整理業者さんに依頼する事を検討しましょう。
この記事で分ること
・死後の片付けである遺品整理の手順
・遺品整理は引っ越し以上の作業
・遺品整理業者さんの頼み方
1.死後、部屋の片付けに手を付ける前に!

家族の死後、部屋の片付けを始める前に必ずすべきことがありますので、最初にお伝えします。
それは、相続をどうするか?という問題を解決しておくことです。
ご家族の死後、部屋の片付けを始めるのは、早い方で葬儀が終わった直後ですが、一般的には49日などの区切りをきっかけに、死後の片付けを進める方が多いようです。
もちろん、もっと遅くに死後の片付け作業を始める方もいらっしゃいます。
しかし、どれだけ遅くても3ヶ月以内には進めていくことが大切です。
なぜなら、もし故人にマイナスの遺産、つまり借金などがあった場合には相続放棄を考えなければいけないからです。
この相続放棄をすることが出来る期限が、亡くなったことを知った日から3ヶ月とされているためです。
故人にマイナスの資産はなく、相続も特に問題ない場合は、3ヶ月を越えても問題ありません。
しかし、相続税の対象になる遺産がある場合は、10ヶ月以内には片付けをする事をお勧めします。
それは、相続税の申告期限であることが理由です。

相続税の申告をするためには、遺産がどれだけあるか調べなければいけないわけで、それをするためには、死後の片付け、つまり遺品整理が必須だからです。
まずはそうした問題が発生しないかどうか、家族で確認をすると良いと思います。
そして万が一、故人に多額の借金などがあった場合は、相続放棄を選択することになりますが、相続放棄をすると故人の遺品は勝手に処分することは出来なくなってしまいます。
相続放棄をする予定なのに、死後の部屋の片付けで遺品などを勝手に処分すると、単純承認したとみなされてしまう場合があるからです。
2.死後の部屋の片付け手順をご紹介します。

家族の死後、部屋の片付けを進めていくための手順をご紹介します。
もしあなたがご自身やご家族と一緒に自分達で片付けをしようと思っているのであれば、ぜひ参考にしてみてください。
ここでご紹介する手順はあくまで一例ですので、状況によって前後することは問題ありません。
①遺言書や重要書類・貴重品の捜索

まず最初に行う手順は、遺言書やエンディングノートといった、亡くなられた本人の希望が記された物がないかの確認です。
もし遺言書が見つかれば、形式に沿って家庭裁判所で確認をする必要がある場合もあります。
遺言書には、主に次の3種類があります。
・自筆証書遺言
・秘密証書遺言
・公正証書遺言
このうち、公正証書遺言以外は発見しても勝手に開封してはいけません。
前述の通り、家庭裁判所で検認をしてもらう必要があります。
勝手に開封すると、過料(罰金みたいなもの)に課せられる可能性がありますので、ご注くださいね。
エンディングノートには法的な効力はありませんので、その場で内容を確認すればOKです。
いずれにしても、そうした故人の遺志が残されているものがあれば、その後の片付けや遺品整理はそれに従うようにしましょう。
その他には、権利書や契約書、仕事関係や故人の付き合い先を記したような書類を探して、見つかれば大事に除けておきましょう。
その他、貴金属や趣味の物など貴重品があれば、これも大切に除けておきます。
②残して置きたいものと処分する物の仕分け

①の重要書類や貴重品が見つかりましたら、次は、部屋に残されている遺品の中で、残しておきたい物と処分する物を仕分けていきます。
この時点から実質的な片付け作業に入っていくと言ってよいでしょう。
部屋が複数あれば、残す物を仮置きする部屋、処分する物を置く部屋と使い分けながらすすめるとスムーズに進みます。
基本的には自分達は今まで使っていなかった物ばかりのはずですから、原則的には処分する方向で考えて、作業を進めていくと良いでしょう。
どうしよう?と悩む物は、大抵の場合絶対に必要な物ではありません。
また、思い出の品が出てくる事も多いと思いますが、これも作業の手が止まる代表的な理由の一つです。
家族の死後、なかなか気持ちの整理が付かない方も多いと思いますが、遺品の整理は心の整理にもなります。
思い切って処分していくことも大切なのです。
ただ、アルバムなどの思い出の品については、まずはいったん捨てずに取っておくことをお勧めします。
③不要品の搬出

不要品の仕分けができましたら、搬出をします。
トラックを持っている方は少ないと思いますので、基本的にはレンタカーなどで手配すると良いでしょう。
トラックを借りるなら、上の写真のような、パネルバンと呼ばれる箱型のトラックの方が良いでしょう。
荷物の出し入れは多少困難ですが、内部で荷物を積み上げられるため、多く積む事ができます。
ロープやホロをかける手間もありません。
準中型免許以上を持っている方がいらっしゃれば、なるべく借りられる大きめのサイズのトラックを借りると良いです。
現在の普通免許で乗れる2トンまでのトラックでは、正直言ってあまり多量の荷物を積む事はできません。
特に慣れない方ですと、効率的に積み込む事ができませんので、何度も往復しなくてはいけなくなります。
トラックで荷物を処分する場所まで持って行き、荷物を降ろして帰ってくる間は、現場の人手が1~2名いなくなるという事ですから、なるべくいっぺんたくさんに運べるトラックが良いですね。
④不要品の処分
不要品の処分をするにあたり、どうしたら良いのか分からない方も多いと思います。
自治体のルールにのっとって処分するなど、費用をなるべくかけない方法もありますが、処分日が決まっていてタイミングが合わない、手続きが面倒などいった問題がありますので、あまり現実的ではありません。
2つの方法をご紹介しますので、組み合わせて頂いても良いと思います。
不要品の処分

一番手っ取り早いのは、そのまま処分する事です。
方法としては、市のクリーンセンターや民間の産廃業者さんに持ち込むことです。
一般の方からの不要品の持ち込みに対応している所も多いので、インターネットや電話などで確認して持ち込むと良いでしょう。
荷物を積んだトラックのままトラックスケールと呼ばれる計量場で重量を計測し、処分品を降ろしたら再度重量を計測して、軽くなった分が荷物の量ということで、料金を支払う仕組みです。
多くの所が10キロで数百円などの料金となっています。
不要品の売却

もう一つの処分方法として、売却があります。
先にご紹介した方法と違い、処分費がかからず、むしろお金がもらえる処分方法です。
家具や、比較的新しい家電であれば買い取っていただけることも多いので、リサイクルショップなどに持ち込んで査定してもらいましょう。
買取金額がつかなくても、無料で引き取ってもらえる場合もあります。
ただ、注意しなければいけないのは、必ず買い取ってもらえるとは限らないという事です。
そして思ったほどの金額にならないケースが圧倒的に多いので、あまり過剰な期待はせずに行くようにしましょう。
そして、買い取ってもらえなかった場合は、処分してもらえる所に再度持って行かなければいけないという手間と時間がかかります。
⑤部屋の清掃

不要品の片付けが終わり、部屋からほとんどの荷物が無くなったら、次は清掃をします。
故人が住んでいた部屋が賃貸であれば、しっかり清掃しなければいけません。
持ち家であったとしても、もし誰も住まないのであれば売却したり、誰かに貸すことを検討しているのであれば、やはり綺麗にしておいた方が良いですからね。
もちろん、とても古くて継続して住居としては使えず、解体する予定であれば清掃は必要ありません。
3.しばらく保管しておくと良い物とは
最初に仕分けした物の中で、部屋の片付けが終わったあともしばらく保管しておいた方が良い物がありますので、ご紹介したいと思います。
故人の生前の付き合いに関するもの

最近は特に、お葬式を広く知らせて行う一般葬ではなく、ごく近親者のみで行う家族葬が主流です。
特に、2020年初頭から世界中でパンデミックとなった、新型コロナウイルスの感染防止対策として、葬儀も非常に少人数で行うようになっています。
故人にご縁があった方に、知らせることなく葬儀が済んでいってしまうケースが非常に多いのです。
そのため、しばらくしてから、故人が亡くなったことを知った人から連絡があったり、共通の趣味を持った友人であれば形見分けを希望されたりすることがあります。
故人が生きてきた証や、家族も知らない生前のことを聞いたり知ったりすることは、残された家族にとってもありがたいものです。
あまり長期間保管しておく必要はありませんが、しばらくは保管しておけると良いと思います。
税金や年金関係のもの

税金関係や年金関係の書類や証書があれば、しばらく保管しておきましょう。
住民税や、前年に所得があった場合はそれに対する税金の支払いが必要となります。
亡くなられた方の税金は、相続人である家族の方が収めなくてはいけません。
仕事関係のもの
もし故人が現役で仕事をされていたり、引退して間もない期間であれば、仕事関係の書類などがあるかもしれません。
職場で頼りにされていた方ですと、退職後もご意見番として関わっているケースもありますので、仕事関係の物もしばらくは保管しておくようにしましょう。
4.死後、部屋に異臭や汚れが残っている場合は

死後の部屋を片付けする中で、もしかしたら異臭や、過度の汚れが残っている場合があるかもしれません。
特に孤独死をされて、何日も発見されなかった場合は、体液や腐敗液が床にしみ込んでしまったり、それに伴う臭いがこびりついているケースもあります。
また、季節や部屋の条件によっては虫がわいているケースもあります。
そんな極端な例は稀ですが、ペットを飼っていて臭いがなかなか消えないという家は珍しくありません。

そんな場合は、特殊清掃と呼ばれる通常のハウスクリーニングとは違う清掃が必要になる場合があります。
特殊な薬品を使って清掃・消臭・除菌をしたり、壁紙や床材を張り替えたりする作業も必要になります。
残念ですが、こういったケースの場合は、なかなか素人ではやりきれないと思いますので、プロの業者さんに依頼する方が無難だと思います。
5.死後の片付けをする中で、トラブルになる3つのケースとは

死後、部屋の片付けをする中で、トラブルになるケースがあります。
代表的な3つをご紹介します。
形見分けで起こるトラブル
第一に多いのが、形見分けなどのに納得できなくてケンカになるケースです。
「これは生前お母さんが私にあげるって言っていた」
「私が一番父の世話をしたのだから、私がこれはもらうね」
ありそうな会話じゃありませんか?
大切なご家族の、大切な思い出を壊してしまうだけでなく、兄弟など家族の仲まで壊してしまったら、それは故人の望むところではないと思います。
死後の片付け、つまり遺品整理をしていく時は、かならず相続人であるご家族全員が集まり、相談しながら進めていく必要があります。
負担がかたよって起こるトラブル

次に多いトラブルは、作業負担の不平等からくる不平不満が爆発することです。
どうしても片付けなければいけない家が近い人に負担が集中しがちです。
昔のように、一族が同じ土地に住んでいることが少ない時代です。
仕事の関係や結婚を機に、故郷を離れる人もおおいため、かならず家族全員が近くにいるとは限らないと思います。
当然、遠方の人はなかなか手伝いに行くことができないでしょう。
仕方がない かもしれませんが、負担が続くと不満は膨れ上がっていきます。
これを回避するためには、事前にしっかり話合いをして、計画的に作業をすすめる事が有効です。
大きな作業をする時は、みんなで集まって行う。
必要な費用はどうやって出し合うか?
そうした事を、しっかり事前に話し合っておくことで回避できるのです。
作業でケガをするというトラブル

死後の片付けである遺品整理作業は、ともすると引っ越しと同等か、それ以上の作業になります。
普段やらない大型の家具や家電を動かしたり、慣れないトラックを運転したりと、ケガをしてしまう要素は満載です!
実際、亡くなった家族の遺品整理をする人に若い方はあまりいません。
たいていの場合は、50代~60代の方ばかりです。
中には70代の方もいらっしゃいます。
普段から肉体労働をされている方ならともかく、普通はそんな作業を長時間できる年齢ではないでしょう。
ギックリ腰でもやらかそうものなら、1週間~2週間は動けなくなってしまいます。
私も過去に2度、ギックリ腰をやりましたのでその辛さはよ~~く分かります。
6.遺品整理をプロに依頼する方法とは
さて、ここまでご家族の死後の部屋の片付けについて解説してきましたが、いかがでしょうか?
自分達ではちょっと大変だなぁ と思われたあなたに、遺品整理のプロに依頼する方法をご紹介したいと思います。

まず、遺品整理業者さんは何をしてくれるのかと言いますと、ここまでご紹介したことの全てをしてくれます。
よく便利屋さんや不要品回収業者さんと混合されるのですが、遺品整理業者さんは、それを専門にした仕事をしていますので、何をどうすべきかを熟知しています。
なにより遺品という物は、大切な家族の大切な思い出が詰まった物です。
それを前提として、敬意と礼節を持って仕事をしてくれるのが遺品整理業者さんなのです。
大切な物の仕分け、捜索、そして不要品の処分だけでなく、希望すればリサイクル可能な物は買取もして頂けます。
つまり、自分達で積み込んで、買取してもらえるかわからないリサイクルショップに持ち込む必要もないのです。
では、どうやって遺品整理業者さんに依頼すれば良いのでしょうか?
もったいぶって申し訳ありませんが、その方法とは、インターネットなどで調べて連絡するだけです。
どなたでも簡単に依頼することができます。

でも、ちょっと待ってください。
丁寧な仕事をしてくれる業者さんが多いとはいえ、遺品整理は日常的に依頼する物ではありません。
そのため、適切な価格や、どんなポイントに気を付けて依頼すれば良いのか分からない方がほとんどです。
失礼ですが、あなたもきっと遺品整理業者さんに依頼した経験はないと思います。
私もそうでした。
何も知らずに、比較的近くにあったという理由だけで業者さんに見積りを依頼したら、びっくりするような見積り金額が出た経験があります。
ですから、遺品整理業者さんに依頼するときには、必ずやるべき事がありますので次の項目でご紹介します。
7.遺品整理業者さんに依頼する時、必ずするべきこと
遺品整理をプロに依頼しようと思った時、必ずやらなければいけないことをお教えします。
それは、相見積もりです。

「相見積もりなんて、なんだか信用していないようで申し訳ない」
「何社も聞いて回るのは面倒」
「決めた会社以外のところに断りの連絡をするのはストレス」
「何社も業者さんを知らない」
あなたがこう思うことは当然だと思います。
しかし、普段から接するサービスではない事に加え、遺品整理の料金は一見シンプルに見えて、実際はけっこう複雑です。
その理由は、「一軒として同じ条件の家はないから」です。
・家の広さ
・荷物の量
・汚れ具合によって清掃にかかる手間
・作業にかけられる時間や曜日
・近くまでトラックを着けられるか?
・二階以上の部屋ではないか?
・マンションならエレベーターはあるか?広さは?
このような、様々な条件によって見積り金額は異なってきます。
そのため、ホームページの料金表では基準となる料金を掲載している会社さんが多いのですが、実際には見積りをとってみないと分からないことが多いのです。
分からないことが多いということは、どの会社が出した料金が適正かあなたは判断できないという事なのです。

ですから、少なくとも3社。できればそれ以上の会社に相見積もりを依頼することが最も重要なのです。
とは言え、何社も見積り依頼の連絡をするのはおっくうですよね。
そこで、複数の業者さんに一括で見積りを依頼してくれるサービスがありますので、こうしたサービスを使うことをお勧めします。
見積りは完全に無料ですし、専門の知識を持ったコンシェルジュ的なスタッフに要件を相談すれば、あとは段取りしてくれます。
複数社に依頼することで、賃貸などで退去期限が決まっていてお急ぎの方にも、すぐに対応してくれる業者さんも見つかりやすいのです。
無料で見積り依頼ができますので、自分達でできるか判断に迷っている場合でも、まずは問合せてみてはどうでしょう。
8.死後、部屋の片付けについてのまとめ
この記事では、家族の死後、部屋の片付けをする時の手順や、注意点を解説してきました。
下記に簡単にまとめます。
まずは遺言書やエンディングノートを探すこと。
相続の問題も関係してくるため、なるべく3ヶ月以内には進めると良いこと。
片付けの手順は、
貴重品や重要書類の捜索→残すものと処分する物の仕分け→搬出→処分→清掃。
しばらくは残しておいた方が良い物のご紹介。
遺品整理でおこりがちなトラブル3選。
プロの遺品整理業者さんに依頼する方法と注意点。
いかがでしたでしょうか。
最後に私からあなたに個人的なアドバイスです。
亡くなられたご家族の事や、その遺品も大切ですが…
一番大切なのはあなたやあなたのご家族です。
日常生活を送りながらの遺品整理は、大変な労力と気苦労がかかります。
そして自分達で全部行ったとしても、それなりに経費がかかるものです。
ぜひ、無理をせず、プロに依頼することを考えてみてくださいね。